• "反転攻勢"(/)
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  1. 富山県議会 1994-06-01
    平成6年6月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時12分開議 ◯議長(西島栄作君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。  日程第1県政一般に対する質問並びに議案第86号から議案第100号まで及び報告第1号から報告第6号までを議題といたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(西島栄作君)これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  山本 修君。    〔10番山本 修君登壇〕 3 ◯10番(山本 修君)まず冒頭に、先月、中沖知事におかれましては、中国遼寧省での友好締結10周年記念事業に参加され、両県省の友好親善に御尽力をされ、また、富山空港の国際化につきまして、富山-ウラジオストク間の定期便が来る7月15日に就航するなど、今後の環日本海交流に一層の拍車がかかるものと高い評価をし、県民は、中沖知事の政治手腕に大きな期待を寄せていることを申し上げ、以下質問に入りたいと思います。  国の政治情勢についてであります。  「日ごとに新鮮な朝が来る。朝ごとに新しい世界が生まれる」これは、アメリカ・ニューヨークタイムズ社の本社の玄関に掲げられたウーズレイという詩人の詩の一節であります。皆さん、今朝のテレビを見ましても、ニューヨーク外国為替市場の円相場が歴史的な100円を割りました。また、社会党の政権復帰など、まさに世界の動向は日進月歩というスケールを超越して、刻々と急激な変革を遂げる大転換期を迎えております。国際社会において、我が国の政治、経済が最も重要な立場にあることを深く認識し、確固たる自信と信念を持って行動すべきではないかと考えるものであります。  国政においては、山積した国内外の緊急課題を差しおいて、主導権争いに明け暮れる暇はないはずであると思いますが、まず知事の所見をお伺いするものであります。  次に、国際家族年についてお伺いをいたします。  今年1月15日にNHKのテレビで放映されました青春メッセージの中で、長沼ニーダさんという人の発表された「我が家の姑」と題した話に、私は心を打たれたことを思い出すわけであります。このニーダさんはフィリピン人ですが、日本に留学し、日本の男性と結婚をして2児の母親となり、現在、千葉県にお住まいになっているそうであります。御主人のお母さんと一緒に生活をし、人類を超え、お互いに相手の思いやりを理解し合って、家族が生き生きと暮らしておられる様子を発表したものでありました。心温まる思いでテレビを見た人は、私一人ではないと思います。  ところで、戦後の我が国は、高度経済成長を通してすべてが急激に変化をし、豊かな社会と貧しい心が今日の特徴として指摘をされております。中でも家族は、核家族化や親族関係の希薄化などが著しく変化をしております。家族は、社会を構成する最も基礎となる核であると同時に、あすの活力を蓄える人生のオアシスであると私は思うわけであります。今、家族の崩壊が憂慮されている中、子供や大人、お年寄りが家族として関係を深め、心豊かに暮らすことのできる社会を目指した背景から、1989年12月、第44回国連総会において、1994年を国際家族年とする趣旨の決議が採択されました。  そこで、この機会を積極的にとらえ、県民においても家族問題について広く認識を深めるとともに、総合的な施策を展開すべきだと私は考えるものであります。そのような意味から、家族の意義と国際家族年の役割についてどのように認識をされているのか、お伺いをするものであります。  第2は、県における国際家族年の推進体制であります。  我が国においては、昨年3月内閣内政審議室において、18省庁から成る国際家族年に関する関係省庁連絡会議を設置し、取り組みを進めておるところであります。本県においても、関係部局の連携はもとより、市町村や関係団体とも協力体制を整え、積極的に取り組みを推進すべきと考えるものでありますが、所見をお尋ねをするものであります。  第3は、国際家族年の趣旨等について、周知、啓発への取り組みについてであります。
     県は、この際、21世紀に向けての子供、家族と、それを支える社会のあり方について、いま一度見直してみるよい機会ととらえ、国際家族年の記念事業を積極的に開催し、多様な工夫を凝らした啓発活動を推進すべきだと考えます。また、国際家族年におけるさまざまな取り組みを単年度の事業としないように、今後施策の充実を図るべく考えがあるかないか、あわせて所見をお尋ねするものであります。  次に、地球環境保全対策についてであります。  そのうち、特に緊急の対応が求められているフロン対策の促進についてお伺いいたします。  一昨年の11月には、デンマークのコペンハーゲンでオゾン層保護に関するモントリオール議定書、第4回締約国会合が開催され、特に特定フロン等規制の4年間の前倒しが採択されるとともに、回収、再利用等の促進が決議されるなど、国際的な規制の枠組みが強化をされました。今や、オゾン層保護対策は、我が国にとっても急務の課題になっておりますが、この問題は国だけに任せるのではなくて、自治体レベルでも取り組みを進めることが極めて重要であろうと思います。  県は平成3年大気環境計画、すなわちブルースカイ計画をスタートし、昨年11月に制定された国の環境基本法に基づき、県も独自に、本年にブルースカイ計画を改定することとされ、また今後諸施策の研究を重ねていくための県地球環境保全連絡会議の設置を決定されたところでありますが、このような県の積極的な取り組みに対し、高い評価をするものであります。  そこで、質問いたします。  フロン等のオゾン層破壊物質の用途別使用状況を見ますと、特定フロンの4割強、トリクロロエタンの9割が精密機械部品等の洗浄用として使われております。これら事業所に対する普及啓発や、粗大ごみとして収集する廃棄冷蔵庫からの冷媒フロンの回収等は極めて重要であろうかと思いますが、現状と将来の方針についてお尋ねをするものであります。  次に、高齢者対策についてお尋ねをいたします。  既に、日本は長寿の国と言われるほどに高齢化が進み、超高齢化社会の到来が目前に迫っております。その趨勢を見ますと、65歳以上の高齢者の人口が西暦1990年に12%、本県では15.1%であったものが、2000年には国では17%、本県では19.6%と予測をされ、さらに2010年には国では21.3%、本県では24.9%に達すると言われております。つまり、4人に1人が高齢者となります。このことにより、スウェーデン、ドイツ、フランス等の国々を抜いて、世界でも例を見ない超高齢化社会になります。この大きな変化に伴って起こる諸問題の中で、本県としては、最大かつ緊急に対応すべき課題は社会保障経費や医療費の増大の抑制であります。  厚生省の資料によりますと、国民医療費の額は、西暦1990年には約21兆円であったものが、2000年には43兆円、2010年には88兆円という膨大な数値になり、その急増の原因が高齢者の医療費の増大であると言われているわけであります。そのための対策の中で、直ちに実行でき、かつ有効性のある方策として、1人でも多くの健康な高齢者を増やしていくことが大切であろうと思います。健康な高齢者を増やすということは、自分に合った仕事で、プライドを持って生き生きと働き、さらに、能力を高めるための学習や社会活動を通じて、社会参加することができる人を増やすということであります。現在の高齢者は就業の意欲が高く、単に収入の問題としてだけではなく、仕事をすることで生活のリズムを健康に保ちたいという願いを強く持っております。この意欲を有効に生かすことが大切ではないかと考えるものであります。  そこで、富山県では高齢者の職業の受け皿づくりとして、シルバー人材センターの一層の充実、中小企業における高齢者の活用の推進にどのように取り組んでいく考えなのか、お伺いをするものであります。  次に、高齢者の方々が長年にわたり培ってきた各種の技術、能力などを生かしたボランティア活動や世代間交流の一翼を担う活動など、広く前向きな生きがい対策をもっと推進していくべきと考えるものであります。先般策定された、高齢者保健福祉計画の推進ということでもあり、またこの4月から、新たに生きがい対策係が設置されたところでもあるし、所見をお伺いするものであります。  次に、地域福祉の焦点となっているホームヘルプサービス事業についてお伺いをいたします。  高齢者の多くは、体が不自由になっても住みなれた地域社会で住み続けることを希望しております。今後の高齢者福祉対策は、このような高齢者の在宅の生活維持向上を支援するという観点からも、在宅福祉サービスの充実が不可欠であります。したがって、これからはこれまでの事業援助はもとより、個々のヘルパーの介護力の強化や多様な能力を活用した組織的なサービスの提供、さらに、派遣回数の増加や派遣時間帯の充実などが求められております。  聞くところによりますと、福岡市の民間介護サービス会社において、夜間巡回訪問介護のモデル事業を行っております。この事業は、24時間介護体制確立を目指す全国で初めての介護システムで、看護婦とケアレディーの組み合わせにより、要介護老人世帯を対象に、休日や真夜中も含めた夜間の訪問介護を実施し、高齢者の生活の多様性に的確に対応したサービスを展開しているのであります。  また、この事業を通じて、要介護老人を抱えている家族が、夜間、特に深夜の介護から解放されたことによって日常の生活が維持できるようになり、崩壊寸前だった家庭が見事によみがえった例など、大きな成果を上げているのであります。  さらに費用についても、特別養護老人ホームに入所して介護を受けるお年寄り1人当たりの経費とほぼ同じ程度か、むしろそれよりも低い費用で介護を受けていると聞いておるわけであります。厚生省や地方自治体など、各方面から貴重な事業実績として注目を集めているのであります。  そこでお伺いいたします。県においても、今後さらにホームヘルプサービス事業の一層の充実を図るため、いわゆる24時間介護体制の実現に向かって、モデル事業も含めた調査研究を進める必要があると考えますが、所見をお尋ねをするものであります。  次に、地方分権による県みずからの規制緩和の実施についてお伺いをいたします。  規制緩和につきましては、国に対して要求する規制緩和と、県がみずから実施をする規制緩和が考えられますが、国では既に昨年9月及び12月に、景気刺激、行政の簡素化、国民負担の軽減等の視点から、許認可の廃止や緩和、届け出の報告義務の廃止、あるいは負担の軽減等が図られ、国の平成6年度予算編成の際に閣議決定された行政改革大綱に盛り込み、実施する方針であります。  このようなことから、県もみずから実施する規制緩和について、できるものから早急に実施すべきだと私は考えるものであります。規制には、ざっと挙げただけでも、許可、認可、免許、承諾、指定、承認、認定、確認、証明、認証、試験等がありますが、知事に積極的な検討を促したいと思いますが、所見をお伺いいたし、私の質問を終わりにしたいと思います。 4 ◯議長(西島栄作君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 5 ◯知事(中沖 豊君)一般質問の先頭を切られました山本議員の御質問にお答えいたします。なお、私を激励いただきましたが、今後ともよろしくお願いいたします。  第1点は、国の政治情勢についての御質問でありまして、山積した国内外の緊急課題を差しおいて、国政においては主導権争いに明け暮れているが、そのような暇はないはずであると思うがどうかという御質問であります。  現在、国政におきましては、平成6年度の予算の早期成立をはじめ、税制や行政改革、政治改革、北朝鮮の核疑惑問題、日米経済問題など、国内外の緊急かつ重要な課題が山積いたしております。こうした状況の中では、時代の趨勢、潮流を的確にとらえ、国民の声も聞きながら懸案に取り組んでいくことが何よりも重要であると考えております。にもかかわらず、現状は党利党略にとらわれ、日本の進路などの重要政策が十分議論されておらず、まことに残念であり、憂慮にたえないと思っております。内外の課題が山積しておる今こそ、大局的な見地に立って国民本位の政策論議を深め、国民が信頼できる安定した政治が行われることが何よりも大切なことであると考えております。  次は、地方分権による県みずからの規制緩和の実施についての御質問であります。  去る2月15日に閣議決定されました「今後における行政改革の推進方策」、つまり行政改革大綱におきまして、規制緩和につきましては、経済的規制は原則自由、例外規制とし、社会的規制についても不断に見直しを行うという姿勢で取り組むことが明らかにされました。特に、土地の有効適正利用や住宅の建設促進、情報通信、新規産業の創出、輸入の促進などの分野に重点を置いた当面の規制緩和措置が決定されたところであります。この規制緩和措置の項目は多岐にわたっておりまして、この中には府県に関係する事務も相当数含まれておりますが、その多くは国の法令等の改正が必要であることから、今後、その動向に十分留意しながら適切に対応してまいりたいと考えております。  一方、県の条例による許認可等は、社会情勢の変化などに応じ必要な見直しを行ってきておるところでありまして、これまでも、役割が終わったものにつきましては廃止するなど、必要な措置を講じてきたところであります。また、現在ある条例の許認可等につきましては、公害の規制や貴重な自然の保全など、住民の生命の安全の確保や環境保全などを目的として設けられたものが多く、その制定に当たりましても慎重な検討を行い、規制については必要最小限なものになっております。  いずれにいたしましても、社会経済情勢の変化に対応し、住民の負担の軽減や行政事務の簡素化を図ることは重要な課題であると考えております。今後とも、許認可の有効期間の延長、提出書類の削減、事務処理日数の短縮などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上であります。 6 ◯議長(西島栄作君)吉田厚生部長。    〔厚生部長吉田哲彦君登壇〕 7 ◯厚生部長(吉田哲彦君)まず、国際家族年についての御質問からお答えいたします。  本年は国際家族年であるが、家族の意義と国際家族年の役割についての御質問にお答えいたします。  家族は、夫婦と子供あるいは祖父母を加えました3世代などの構成員がお互いに信頼し、協力し合い、子供の養育や高齢者の介護などの役割を担い、生きる喜びを分かち合える社会の最も重要かつ基礎的な単位であるべきと考えております。しかし近年、高齢化社会の到来、少子化、核家族化の進行、家族関係の希薄化などによりまして、日本のみならず世界の各国におきましても、これまでの家族のあり方が変化してきております。この結果、その構成員、特に幼児、高齢者、障害者などに対しまして、その家族のみでは支え切れないといった問題が表面化しております。  このような状況の中におきまして、世界各国がそれぞれの経済や社会、文化の状況に応じた家族の姿と家族問題について、いま一度考えるきっかけとすることを目的といたしまして、国際家族年が制定されたところであります。県におきましてもこの国際家族年を、県民1人1人が改めて自分たちの家族について見つめ直すよい機会としてとらえてまいりたいと考えております。  次に、国際家族年の推進についての関係部局の連携、あるいは市町村、関係団体との協力体制についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、国におきましては、平成5年3月、総理府を中心に18省庁から成ります国際家族年に関する関係省庁連絡会議が設置されまして、国際家族年を契機として、少子化問題への対応でありますとか男女協同参加型社会の形成について、また、家庭生活と職業生活の調和、あるいは家庭教育の充実などについて、それぞれ取り組んでこられているところであります。  県といたしましても国際家族年を、県民1人1人が改めて自分たちの家族、家庭について見つめ直すよい機会としていきたいと考えておりまして、市町村や関係団体との連携のもとに、各種の施策の展開を図っているところであります。  次に3点目として、国際家族年の記念事業を積極的に開催し、多様な工夫を凝らした啓発活動を推進すべきと考えるがどうか、また、単年度だけのものとしないよう、今後の施策の充実を図るべきと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  県におきましては、これまでも、まず、ポスターコンクールや各種のシンポジウムの開催などによります家庭の日の普及・定着や、家庭生活、子育てについての意識啓発を行ってまいりました。また、児童相談所や保健所などにおいて子育てに関します相談、支援を行っております。また、多様な保育ニーズにこたえる特別保育の実施でありますとか、育児・介護休業制度の普及などによります仕事と子育ての両立が可能となるような支援策を図ってきております。さらには、児童の健全育成、女性の就労環境の改善、高齢者のための介護や住宅の普及など、家族や家庭に関するさまざまな分野の施策の強化拡充について積極的に進めてきたところであります。  特に、今年度は国際家族年でもありますことから、県では、市町村や関係団体等との連携のもとに、国際家族年記念事業といたしまして、こどもみらい館を中心にファミリー音楽祭、家族ふれあいフェスティバル、シンポジウム、セミナーなどを開催いたしまして、家族問題や家族の役割などに対する理解の促進を図っていくこととしております。また、県内の幾つかの市町村におきましても、国や県の呼びかけに応じまして、国際家族年関連イベントや啓発活動を企画しているところもあるようでありますので、今後一層市町村との連携を強め、より広がりを持った啓発活動が展開されるよう努めてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、県におきましては、この国際家族年をことし限りのこととしないで、今後とも家族問題に対する県民の関心を高めるとともに、家族の役割、機能に対する理解の促進や、家族の幸せを支援、促進させるための諸施策を積極的に推進してまいりたいと思っております。  次に、高齢者対策について2点お答えいたします。  まず1点目は、高齢者が長年にわたり培ってきた各種の技術や能力などを生かし、ボランティア活動や世代間交流の一翼を担う活動など、広く前向きな生きがい対策をもっと推進していくべきではないかという御質問にお答えいたします。  高齢者の生きがい対策につきましては、第三セクター方式により設立いたしました富山県いきいき長寿財団や、各市町村におきます高齢者の生きがいと健康づくり事業への支援などを通しまして、積極的に推進してきたところであります。  例えば、いきいき長寿財団におきましては、高齢者の経験、知識、技能が地域社会に生かされる仕組みづくりにつきまして、シニアタレントバンクを設置いたしまして、スポーツや芸術、一般教養など、さまざまな分野で指導者として活動できる方を登録いたしまして、地域の要請に応じて活躍いただいているところであります。また、世代間交流を啓発、促進するため、毎年度県内各地域におきまして、スポーツや音楽などを通して各世代が参加交流するイベントの開催をしております。特に今年度は、県内関係団体の御協力をいただいて実施しております健康と長寿の祭典の中で、三世代ふれあい音楽祭の開催を予定しているところであります。  また、このほど策定いたしました県の高齢者保健福祉計画におきましても、生きがい対策は、保健福祉サービスなどによります高齢者の介護や支援とともに施策展開の大きな柱ととらえ、さまざまな分野で高齢者の皆さんの意欲や能力が発揮できるような環境づくりを進めていくこととしております。人生80年時代を迎え、県民だれもが健康で心豊かな人生を過ごすためには、高齢者の皆さんが、ボランティア活動をはじめ、みずから積極的に社会参加していただくことが大切であると考えております。  こうした高齢者の皆さん方の社会参加を支援するため、県といたしましても、引き続き、いきいき長寿財団や市町村、老人クラブなど関係団体とも十分連携を図りながら、高齢者の生きがい対策を積極的に推進してまいりたいと思っております。  最後に、ホームヘルプサービス事業の一層の充実を図るため、いわゆる24時間介護体制の実現に向けて、モデル事業を含めた調査研究を進める必要があると考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  ホームヘルプサービスが、ニーズにこたえて時間外や休日などにおきましても弾力的に提供されますことは、大変重要なことであります。このためこれまでも、国の制度によります時間外手当の助成のほか、県といたしましても効果的な運営方法などに関する情報提供など、市町村に対しまして支援などを行ってきたところでございます。その結果、ホームヘルプサービスチーム運営方式の活用などによりまして、幾つかの市町におきましては、ホームヘルパーの派遣時間帯の拡大への取り組みがなされてきております。  派遣時間帯の拡大をはじめといたしますホームヘルプサービスのより一層の充実につきましては、今後とも市町村において、経験豊富な主任ヘルパーの活動、非常勤ヘルパーなどの活用、フレックスタイム制の導入などによりまして次第に取り組まれていくものと考えておりますが、県といたしましても、今後とも必要な指導、助言を積極的に行ってまいりたいと思っております。  なお、福岡市の事例を御紹介になりましたが、これは国の介護ニーズ調査研究モデル事業といたしまして、民間の介護サービス会社によって行われているものでございます。この事業は、まず夜間が中心であること。2点目として、1回当たりの訪問時間がかなり短く10分から20分程度とお聞きしておりますが、そのように訪問時間を短くするかわり、1日の訪問回数を多くしております。また、家事よりも介護サービスに重点を置いておるといった特色を持ったモデル調査事業でございまして、現在、県内の各市町村で行われておりますような一般的なホームヘルプサービス事業とはかなり性格の異なったものでございます。また、このモデル事業は現在もまだ継続中でございまして、その評価は今後行われるものであろうと思っております。私どもも、この成果につきましては十分注目し、見守ってまいりたいと思っております。  以上でございます。 8 ◯議長(西島栄作君)炭谷生活環境部長。    〔生活環境部長炭谷秀樹君登壇〕 9 ◯生活環境部長(炭谷秀樹君)地球環境保全対策のうちの、特定フロン等のオゾン層の破壊物質を利用している事業所に対する普及啓発、あるいは廃棄冷蔵庫からの冷媒フロンの回収等についてのお尋ねにお答えをいたします。  特定フロン等が大気中に排出された場合には、オゾン層を破壊し、人の健康や動植物の生育に悪影響を及ぼすことが明らかになってきております。このため国におきましては、昭和63年にオゾン層保護法を制定いたしまして、国内全体の特定フロン等の生産量や輸入量を段階的に削減する方式で規制してきており、平成8年以降はゼロにすることにしております。  国におきましては、特定フロン等の使用事業者に対して排出の抑制や使用の合理化を図るため、必要な事項を指針として定め、指導、助言を行っているところであります。また、業界・団体におきましても、特定フロン等の削減や他の物質への転換方法についてのマニュアルを作成しているほか、講習会の開催や個別の企業の指導などの取り組みが行われておるところであります。  県におきましては、オゾン層の破壊等の地球環境問題に関しましては、とやま環境財団の協力のもと、地球環境問題に対する講演会、あるいは相談業務の実施等、あらゆる機会を通じまして事業者、県民に対して幅広く普及啓発に努めております。また、中小企業に対しましては、工業技術センター、産業情報センター、中小企業関係団体による特定フロン等に関する情報提供にも努めておるところでございます。  また、廃棄されます冷蔵庫の特定フロンの回収につきましては、国におきまして、本年3月に冷蔵庫を廃棄物処理法の適正処理困難物に指定したことを契機にいたしまして、フロン回収と廃棄物処理を一体的に行う体制づくりを目指しまして、収集回収体制の整備や役割分担、費用負担のあり方等について検討が行われております。この検討結果に期待をしているところでございます。  県といたしましては、今後特定フロンの回収システムが示されれば、市町村等とともに適切に対応してまいりたいと考えております。今後とも国と連携をとりながら、特定フロン等の使用実態の把握や事業者に対する普及啓発等を進めるなど、地球環境保全施策の推進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 10 ◯議長(西島栄作君)佐藤商工労働部長。    〔商工労働部長佐藤哲哉君登壇〕 11 ◯商工労働部長(佐藤哲哉君)高齢者の雇用対策といたしまして、シルバー人材センターの拡充方策、中小企業におきます高齢者の活用の推進につきましてのお尋ねについてお答え申し上げます。  急速な高齢化社会の到来を迎える中で、高齢者の高い就業意欲と豊かな知識、経験を生かしました働く場の確保、これは大変重要な課題であると考えております。このため県といたしましては、第1に、企業における65歳までの雇用機会の確保の推進に努めております。また第2に、55歳から65歳未満の離職者の再就職の促進。第3に、定年退職後などにおきます高年齢者の多様な就業機会確保の推進。この3つを柱といたしまして、高年齢者雇用対策を講じているところであります。特に、定年退職後などにおきます就業機会確保の対策として、シルバー人材センターの育成、指導に努めているところであり、現在、県下に28団体のシルバー人材センターが設置され、会員数が約5,600人、年間契約金額も20億円を超えるなど、現在顕著に伸びているところであります。  これらのシルバー人材センターにつきましては、国費、県費合わせまして、平成5年度で2億1,000万円の補助をしているところでございますが、今後も引き続き未設置の町村に対し、その設立を積極的に働きかけていくとともに、既存のシルバー人材センターにおきましても作業研修施設、いわゆるシルバーワークプラザの設置などの事業への取り組みを推進していくこととしておりまして、会員については、技能訓練の実施や安全就業対策の確立を図るなどの指導、援助に努めていくこととしております。  高年齢者の雇用対策につきましては、高い就業意欲と豊富な知識、経験を持つ高年齢者の労働力を活用するという観点から、その積極的な求人開拓の実施ときめ細かな相談、援助によります高年齢者の多様な就業ニーズに応じました再就職の促進に努めております。  また、中小企業をはじめとしましたすべての企業に対しまして、高年齢者の積極的な雇用機会を確保していただくという観点から、継続雇用制度導入奨励金など各種助成金を活用しました指導、援助によりまして、高年齢者の積極的な雇用機会の確保を図るほか、45歳以上の離職者を対象としました特定求職者雇用開発助成金などの支給によりまして、高年齢者を雇用する場合の負担軽減措置を行っているところであります。  今後ともこれらの施策を一層強化し、高年齢者の雇用の安定と再就職の促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 12 ◯議長(西島栄作君)小川 晃君。    〔3番小川 晃君登壇〕 13 ◯3番(小川 晃君)私は、通告をしました3点について質問をいたします。  まず、地域開発のあり方と区画整理事業についてお尋ねをいたします。  昭和43年に都市計画法が制定をされ、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分する線引き制度が創設をされ、昭和46年に富山高岡広域都市計画区域内の富山、高岡、婦中、新湊、大島、大門、小杉、下村がこの線引きの対象となったのであります。この当時は高度経済成長政策のさなかにあり、開発すべき地域と開発を抑制する地域に区分する線引きを行うことが当然と受けとめられてまいりました。  しかし、近年、東京一極集中が進み、過疎過密の問題などから都市間競争が活発になり、各自治体では人口の定着や街の活性化を目指して、住宅開発や工場団地造成に力を注いできています。その結果、線引きを受けた市や町の調整区域と線引きを受けていない隣接市町の間に、開発行為による格差が生じてきているのであります。  事例を申し上げますと、私の居住する高岡市戸出地域の市街化調整区域は、当然開発行為が規制されています。ところが、これに隣接する砺波市や福岡町は未線引きであることから開発行為が近年盛んに行われ、境界線のところでも住宅団地や工場団地がどんどん造成され、その結果、高岡からこれらの地域へ人口や工場が流出していっておるのであります。こうした行為を目の当たりにした調整区域に住む住民からは、「何で道一つで私たちの地区が開発が規制されるのか」という素朴な疑問の声が上がっておるのであります。  私は無秩序な開発を望む者ではありません。むしろ、緑豊かな農地が失われ、自然が減少していくことを憂慮する者であります。したがって、市街化区域と市街化調整区域を区分するなら、県下の全区域を対象とすべきと思うのであります。この際、全県下を対象に線引きを見直す考えはないかお尋ねをします。  また、開発行為も自然環境や景観に十分配慮し、かつ隣接地区とのバランスにも配慮して慎重に行うべきと思いますが、こうした点を含め、地域開発のあり方についての問題点と今後の対応についてどう考えておられるか、知事の御所見を伺いたいと思います。  このことに関連して、土地区画整理事業のあり方についてお尋ねをいたします。  土地区画整理事業は、昭和29年に制定された土地区画整理法によって町を整備しようとするもので、近年市街地のスプロール化が進む地区で、将来を見通したまちづくりの手法として県下各地で取り組まれています。しかし、この土地区画整理事業では、農地で20から30%の減歩が必要となり、非農家でも応分の負担が求められます。そのために、この事業では総論賛成、各論反対というケースも多くあり、これを進めようとする区画整理組合のリーダーたちの労苦は大変なものがあります。私は、こうした区画整理事業をスムーズに進めるためには、何よりも住民参加による住民のためのまちづくりを心がけること、すなわちマイタウン意識の醸成が大切だと思います。そして、こうした事業は公共性も強いわけでありますから、関係自治体及び県の強力なバックアップ体制が不可欠であります。  具体的には、区画整理事業の必要性についてのPR活動、文化性の導入や福祉のまちづくりなどの夢のあるまちづくりへのアドバイス、区画道路や河川公園などの造成にも、可能な限り補助事業の導入や県単助成の実施、区画整理に関するノウハウを盛り込んだマニュアルの策定などであります。  こうした課題について、県としてより積極的に取り組んでいただきたいのでありますが、このことについての前向きの答弁を期待するものであります。  質問の2つ目は、子供の健全育成についてであります。  昔は、子供は自然の中で伸び伸びと育ちました。そこには餓鬼大将もいましたし、子供間の友情もありました。学校では、できる子もできない子も、障害を持つ子も一緒に学びました。登校拒否などはほとんどなかったように思います。貧しかったけれども、心は豊かであったように思います。  ところが今日、少子化の中で子供たちを取り巻く状況は、物は豊かであるが、自然と遊ぶことがない、場所がないと言われております。受験を意識した競争社会に身を置き、校則に縛られ、いじめにおののき、登校拒否も著しく増加してきているのではないでしょうか。こうした子供たちを取り巻く状況を厳しく受けとめ、子供たちの権利を尊重しながら、友情にはぐくまれた心豊かな子供社会を築いていくために、私たち大人は可能な限り子供たちをサポートして、子供たちの健全育成に努力していかなければならないと考えます。そういう立場で、以下お尋ねをいたします。  まず、子どもの権利条約についてです。  1989年11月20日、第44回国連総会は、全会一致で子どもの権利に関する条約を採択しました。この子どもの権利条約は、子供を人格を備えた存在として位置づけ、子供に意見表明権や集会・結社の自由などの基本的人権を最大限認めたものであります。  しかし、我が国では、子供は親のものといった観念が強くあって、国会でもなかなかこれを批准してこなかったのでありますが、国際世論もあって、ことしになってようやくこれを批准し、去る5月22日、ちょうど1カ月前のきょう、この条約が発効したのであります。この子どもの権利条約を正しく受けとめ、これを今後の学校教育等の現場で生かしていくことは重要な県政の課題と考えます。  そこでまず、この子どもの権利条約をどう受けとめ、県政に反映させようと考えているか、知事の御所見を承りたいと思います。  また当面、学校教育現場では、この子ども権利条約に照らして学校校則を全面的に見直すとともに、子供たちにあらゆる機会に意見表明の権利を保障し、教師の皆さんがこの条約の意義について十二分に理解するよう、研修などを通して周知していく措置などを講ずるべきと思いますが、このことについての教育長の見解を求めるものであります。  このことに関連して、最近の子供の権利侵害に関する事例について教育長の見解を伺いたいと思います。  1つは、福岡県の中学校で校則の丸刈りを拒んだ生徒に校長が隔離授業を行ったことであります。この校長の対応は、子供の権利を理解しない、全く理不尽なやり方であると思いますがどうか。また、本県でもまだ校則で丸刈りを強制しているところが若干ありますが、この際、これを廃止するよう指導すべきと思うがどうか、お尋ねします。  もう1つは、6年前にいじめが原因で飛びおり自殺をした富山市の女子中学生に対するクラス全員40人が書いた追悼文を焼却してしまった事件についてです。  追悼文は、その時の反省の気持ちをクラス40人全員が書いたものでありますが、1人の女子中学生を自殺に追い込んだ反省を含めた追悼文を公開するかどうかは別にして、これを焼却するのは問題でないかと思うのであります。彼女の自殺の教訓を生かすためにも、これを保管していじめ対策などに活用すべきだったと思うのでありますが、この処置についての県教委としての見解をお尋ねをします。  次に、具体的な子供の健全育成のための施策についてお尋ねします。  まず、児童館、児童センター活動についてであります。
     子どもの権利条約第31条は、「締約国は、子供が休息し、かつ余暇を持つ権利、その年齢にふさわしい遊び及びレクリエーション的活動を行う権利並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める」と述べています。また、児童福祉法第40条は、「児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする」と規定しています。  このように児童館、児童センターは、条約第31条及び児童福祉法第40条を具体的に実践する場であり、今後学校5日制の実施などを視野に入れながら整備を図り、その機能を拡充していくことが求められていると考えます。  児童館、児童センターについては、全県的に見て少なくとも中学校区に1カ所ぐらいの割合で必要であると言われておりますが、本県の児童館、児童センター数は44で、これに照らして整備率はまだ50%程度であります。また、配置状況も市町村によってアンバランスが目立ちます。さらに、その運営も、行革の影響から正規職員を減らして、嘱託やアルバイトで対応するところも多くなってきています。そうした中で中学生を受け入れたり、障害児の利用を積極的に進めるなど、運営を図っているところもあります。こうした取り組みを参考にしながら、児童館、児童センターの活性化を図っていくべきと思いますが、今後の児童館、児童センターの整備方針と、その活性化策についてお尋ねをするものであります。  このことに関連して、放課後児童対策事業についてお尋ねします。  この事業は、保育所や学校などの空き教室や地域の公民館などを利用して、児童の育成指導、遊びによる発達を図るものですが、当面、児童館や児童センターのない地域で設置することが求められます。そこで、この事業の取り組み状況と、今後この事業をどう拡充していくか、その方針についてお尋ねをするものであります。  次に、保育園のあり方についてであります。  県内の保育園は少子化の波を受け、押しなべて園児が減少し、幼稚園とも競合する中、その運営に苦労しているところが少なくありません。そして、乳児保育、障害児保育、延長保育など多様な保育メニューを導入して保育園の存続を図っています。また最近、子供と老人との交流、異年齢児交流、郷土伝承活動、育児相談などの保育所地域活動事業に取り組む保育園が増え、保育園が地域交流センター、子育てセンターとしての役割を担っています。  そこで今後、こうした保育園の機能を高め、その内容の一層の充実を図っていくべきと考えるがどうか、お尋ねします。また、あわせて保母の育成、研修内容の充実を図るべきと思うがどうか、お尋ねをいたします。  このことに関連をして、民間保育園の育成についてお尋ねします。  園児が減少する中で、民間保育園では人件費の切り詰めなど経営に苦労しています。また、園児を確保するために、他の保育園や幼稚園などとの間に猛烈な園児争奪戦を展開しているところも少なくありません。私は、こうした民間保育園の実態について県として正しく調査し、助成を強化する必要があると思います。また、保母さんらの賃金、労働条件も押しなべて公立のそれより劣悪な状態にあり、その改善が求められます。こうした民間保育園の実態について県当局はどのように把握され、どう改善されようとしているかお尋ねをするものであります。  質問の3点目は、臓器移植についてであります。  近年、医学の進歩は目覚ましく、それまでは死の病であった重病も臓器移植によって助かるケースが増えてきていることは喜ばしく思います。そこで今般、骨髄移植と腎臓移植について、それを促進する立場でお尋ねをいたします。  まず、骨髄移植についてであります。  白血病や重症再生不良性貧血といった血液難病も、近年、骨髄移植により完治が望めるようになりました。しかし、この骨髄移植には患者と同じ白血球の型を持った骨髄提供者が必要で、その白血球の型も何種類もの組み合わせからできているため、他人との間では数百人から数万人に1人しか適合しないと言われています。現在、県内でこうした骨髄移植を希望する登録患者数は23名で、これに対してドナーと呼ばれる骨髄移植提供申し出者は469名と、一応の目標とされる910名にはまだ及びません。このドナーをどう増やすかが当面する課題であります。なお、このドナーは原則として50歳までとされています。  次に、骨髄移植は高度な医療技術であり、これを行える医師の養成と、これを行う無菌室の確保が課題であります。現在、無菌室を備えているのは、県立中央病院と富山医科薬科大学だけであります。本県でこの問題に取り組んでいる富山県骨髄バンクを広める会では、公的病院などを中心に骨髄提供者を求めるパンフの配布やシンポジウムの開催など涙ぐましい努力を続けていますが、県民の反応や医療機関の理解もいまひとつの感があるとのことであり、このことに対する県、市町村の強力なバックアップが求められます。そこで、以下のことを提起し、見解を求めます。  1つは、ドナーの登録目標910名達成に向け、県も骨髄移植を広める会と一緒に取り組むこと。そして、市町村や公的病院をはじめとする医療機関に対し理解と協力を呼びかけること。2つには、中央病院の無菌室を拡充するとともに、他の公的病院にも無菌室を設置するよう働きかけること。また、骨髄移植ができる医師を養成すること。3つには、県が主催して骨髄バンクに関する講演会やシンポジウムを開催すること。4つには、骨髄移植対策の関係者から成る骨髄バンク推進連絡会議(仮称)を設置すること。5つには、こうした施策推進のための必要な予算措置を講ずること。以上でありますが、本日6月22日は、2年前の平成4年6月22日に全国で患者登録を開始した記念日であります。この記念日を飾るにふさわしい前向きの答弁を期待するものであります。  次に、重度の腎臓病患者への腎臓移植についてお尋ねいたします。  人工透析を受けている重度の腎臓病患者数は、県下で1,180名にも上り、年々増えてきています。これら患者は週に二、三回人工透析を受けなければ生きていけず、それだけに日々の生活に伴う労苦は大変なものがあります。幸い、近年人工透析技術の向上によりポータブルな器具も開発され、これら患者の皆さんの行動範囲も広がり、さらに夜間透析を行う病院も増加してきていることから、日中の勤務などの日常生活に支障のない患者も多くなってきていることは喜ばしいと思います。しかし、これら患者の多くの人の希望は腎臓の臓器移植にあります。本県では、腎臓の臓器移植を希望する人は384名で、これに対して腎臓提供登録者は5,407名になっています。このように腎臓の提供登録者は5,000名を超えていますが、この腎臓提供は、骨髄移植と違って提供者が死亡した直後に行われるということでありまして、しかも提供を受ける人と血液など多くの点で一致することが必要で、登録者数はまだまだ足りないという状態であります。  そこで、この腎臓登録をもっと進める必要があり、このことについてのPR活動など、県当局の積極的な取り組みを求めるものであります。このことについて県としての方針を伺うものであります。  なお、人工透析患者の皆さんからは、腎疾患の総合医療対策、要介護透析患者の利用できる医療施設の設置、透析時間の確保と公的病院での夜間透析の実施、市町村患者会づくりの推進などの要求が出されています。これらの要求に向けての県当局の前向きの取り組みを要求し、御所見を承りたいと思います。  このことに関連して、脳死臓器移植についてお尋ねします。  臓器移植は脳死の段階で行うのがより効果的であることは明白であります。腎友会などからは脳死臓器移植の早期立法化を求めています。そして現在、国会では議員提案による臓器移植法案が審議されていますが、私は、個人的には脳死臓器移植を容認すべきと思うのですが、このことについて、厚生部長は医師としての立場からどう思われるか、御所見を承りたいと思います。  ところで、私はこの質問をするに当たり、腎バンクへ私の腎臓の登録をいたしました。どうせ死んだら灰になるのであります。それなら、自分の臓器の一部が灰になる前に人のために役に立てれば幸いと思うのであります。  大変差し出がましいのでありますが、先輩、同僚議員の皆さんもいかがでありましょうか。知事はじめ部長さん方も県職員の皆さん方もいかがでありましょうか。骨髄移植の場合は50歳までの人が対象でありますが、これもよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。 14 ◯議長(西島栄作君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 15 ◯知事(中沖 豊君)小川議員の質問にお答えいたします。  最初の御質問は地域開発と土地区画整理事業についてでありますが、そのうちの、線引きについては県下全域を対象に全県的に見直すべきと考えるがどうか。また、開発行為についても慎重になされるべきと思うが、こうした点を含め、地域開発のあり方についての問題点と今後の対応についてどのように考えるかという御質問にお答えいたします。  市街化区域と市街化調整区域の線引きを行うこの都市計画区域は、御案内のように、無秩序な市街化を防止し、市街地の計画的な整備を行う必要性が特に高い地域について建設大臣が指定するものでありまして、本県におきましては、富山高岡広域都市計画区域が指定されております。近年、モータリゼーションの進展や農村環境の変化などに伴い、線引きを行っている都市計画区域周辺におきまして、比較的小規模な住宅団地等の開発が見られることは承知いたしております。しかしながら、線引きの対象都市計画区域を拡大することにつきましては、その区域の開発の動向や人口・産業の推移などを総合的に判断して決めるべきものでありまして、現在のところその必要はないと考えております。  また、開発行為の許可につきましては、地域の景観などにも十分配慮しながら良好な生活環境を確保するために、都市計画法の許可基準により、道路・公園等の設置や緑地の確保などを図るようにしているところであります。さらに、特に周辺への影響が大きい大規模な開発につきましては、富山県土地対策要綱で自然環境の保全や景観との調和を図るために必要な措置などを講ずることとしているところであります。  いずれにいたしましても、地域の開発に当たりましては、将来の人口・産業動向や地域の開発計画などを的確に把握し、市町村の意向も踏まえ、県土の均衡ある発展を図ってまいりたいと考えております。  次は、子供の健全育成についての御質問でありますが、そのうちの、子どもの権利条約が先月22日に批准され、発効しているが、この条約をどのように受けとめ、県政に反映させようとしていくのかという御質問にお答えいたします。  児童の権利に関する条約は、御指摘のように、去る4月22日国会において批准されたところであります。この条約は、今日なお世界の各地において飢饉や武力紛争などによって、児童が貧困と飢餓、虐待といったさまざまな困難な状況に置かれていることから、児童の人権の尊重、保護の促進を目指し、国連総会におきまして全会一致で採択されたものであります。  その具体的内容でありますが、児童の生存及び発達を可能な限り確保していくという生命に対する権利。それから、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことなど、家族から分離されない権利。それから、児童が自由に自己の意見を表明する権利。それから、精神的又は身体的な障害を有する児童が自立と社会への積極的な参加を通じて生活ができる権利など、児童にかかわる種々の権利を広範に規定しているところであります。これは、基本的人権の尊重を基本理念とする日本国憲法や児童福祉法、教育基本法などともその精神や目的とを同じくするものであります。したがいまして、我が国の児童は既に、この条約の批准をまつまでもなく、これらの権利を享受できる状況にありまして、特別国や県におきまして、法律改正や制度の根本的な変更などを必要とするものではありません。  しかしながら、児童の人権に十分配慮し、1人1人を大切にして福祉や教育などの施策の推進を図っていくことは当然のことであります。この条約の発効を契機といたしまして、今後さらにその一層の充実に努めていかなければならないと考えております。  以上であります。 16 ◯議長(西島栄作君)望月土木部長。    〔土木部長望月倫也君登壇〕 17 ◯土木部長(望月倫也君)土地区画整理事業の課題とその積極的な推進方策についての御質問にお答え申し上げます。  土地区画整理事業は都市計画の母と言われるように、道路・公園等の整備や効率的な土地利用、良好な住宅地の供給など総合的なまちづくりを実現することができ、また、民間活力の導入を図るうえからも適切な事業と考えております。本県におきましては、これまでも土地区画整理事業に積極的に取り組んできたところでありまして、全国的にもかなり高い実績を上げております。  事業の実施に当たりましては、まず何よりも住民等関係者の理解と協力が必要不可欠であることから、地区周辺の実態調査の実施などにより、地区の将来ビジョンを明確にするとともに、パンフレットの作成、広報ビデオの活用、全国各地の事例の情報提供などを通じ、合意形成に努めてきたところであります。  また、道路などの公共施設整備に対する国庫補助事業等の積極的導入に加え、文化性の導入や福祉のまちづくり、自然環境に配慮したまちづくりを推進するため、これまでも滑川市駅南地区、富山市富山駅北地区、砺波市鍋島中央地区等におきまして、地区の特性に応じたきめ細かな規制誘導を行う地区計画制度や、地元の創意工夫を生かしつつ個性と潤いのあるまちづくりを行うふるさとのかおづくりモデル土地区画整理事業などを活用してきたところであり、今後ともこれらの諸制度を積極的に導入していきたいと考えております。  いずれにしましても、21世紀に向けて魅力ある県土づくりを進めていくために、県下全域におきまして土地区画整理事業の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。 18 ◯議長(西島栄作君)吉枝教育長。    〔教育長吉枝信朗君登壇〕 19 ◯教育長(吉枝信朗君)子供の健全育成についての中で、教育現場では、この際、子どもの権利条約に照らし校則を見直し、あらゆる機会の意見表明を認めること、また、教員に研修等を通じ同条約の意義と内容を周知させることなど、当面の措置についてのお尋ねでございますが、これについてお答えいたします。  本条約には、意見を表明する権利、表現の自由についての権利などが定められておりますが、我が国の児童生徒はこれらの権利については既に享受しているものであります。もとより学校におきましては、その教育目的を達成するために必要な合理的範囲内で児童生徒に対して指導や指示を行い、また校則を定めることができるものであります。校則は日々の教育指導にかかわるものであり、常に適切に機能するように、校則の内容や指導のあり方が真に教育効果を与えるものになっているかどうか、児童生徒の実態や地域の実情などを踏まえながら、適宜見直すことが大切であると考えております。  本県の中学校におきましては、これまでも校則の見直しをずっと行ってきているところでありますが、平成5年度だけを見ましても77%の学校が見直しを行い、適切に検討が進められておるものと考えておるところでございます。  意見を表明する権利につきましては、児童生徒の年齢など発達段階に応じて考慮すべきであるという理念を一般的に定めたものであるわけでありまして、必ずしも、児童生徒の意見が反映されるということまでを求めているものではないと考えております。しかし、退学・停学などの懲戒処分や、出席停止などの措置をとる際などには、本人から事情や意見をよく聞くよう配慮しなければならないと思っております。  本条約の発効を契機に、全教育活動を通して1人1人の人権に十分配慮した教育が行われるよう、教職員に広く周知を図るため、先日、条約の内容を通知したところでありますが、さらに研修会等を通して、本条約の意義や内容についてより一層の理解を図ってまいりたいと考えております。  次に、最近の子供の権利侵害に関する事例についてということのうち、福岡県の中学校で校則の丸刈りを拒んだ生徒に校長が隔離授業を行ったとのことであるが、この校長の対応に対してどう思うかということ、また、本県でも校則で丸刈りを強制しているところが若干あるが、廃止する指導をすべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。  新聞報道によりますと、福岡県の中学校で校則の丸刈りを拒んだ中学1年生の生徒に、校長が会議室で1人だけで授業を受けさせる隔離授業を行ったとのことであります。学校には一定の決まりが必要であり、校則それ自体には意義があると考えておりますが、この報道のように、違反したからといって別室で長期間にわたり授業を受けさせることは好ましいことではないと考えております。  本県におきましては、現在、丸刈りを校則としている学校は若干あるわけでございますが、校則は、社会の進展、それから地域の実情、学校の教育方針、保護者の考え方、そして児童生徒の実態等を踏まえ、各学校において適切に考え、見直しが図られるべきものであると考えております。  次にもう1つの事例ですが、6年前にいじめが原因で飛びおり自殺をした富山市の女子中学生に対するクラス全員40人が書いた追悼文を焼却してしまったことについての措置について見解を問うということについてお答えいたします。  御指摘の件につきましては、富山市教育委員会において対応がなされているところでありますが、県教育委員会は、このことについては事情を聞いております。お尋ねの生徒の作文につきましては、これは生徒自身の反省を書いたものであり、これは指導の資料として書かせたものであると聞いておるところでございます。作文の焼却については、担任が同じ学級の生徒の気持ちや生活を見ていると十分反省の様子が見られ、指導の成果を果たしたものと考えたことや、3月は年度の変わり目でもあり、4月から新たな気持ちで出発できるようにと考えたことから、学校ではいつまでも持っているべきではないと判断し、焼却したものであると聞いております。これらのことから、この作文は生徒指導上の役割を十分果たしたものと考えておるところでございます。  以上でございます。 20 ◯議長(西島栄作君)吉田厚生部長。    〔厚生部長吉田哲彦君登壇〕 21 ◯厚生部長(吉田哲彦君)まず、子供の健全育成についての幾つかの御質問からお答えいたします。  まず、児童館や児童センターの整備についての御質問でございます。  児童館につきましては、現在県内におきまして44カ所が設置されておりますが、まだ未設置の市町村が11市町村ありまして、今後とも児童館の整備につきましては取り組む必要のある課題と考えております。県といたしましては、これまでも児童の健全育成組織や施設の整備などを定めます児童の育成に関する市町村計画の策定につきまして市町村を指導、支援するとともに、特色ある児童館づくりに対しましても、県単独の助成を行いまして整備の促進に努めてきたところであります。  また、児童館の運営に当たります指導者の育成と資質の向上を図るとともに、子供の遊びやグループ活動、児童館活動に関します情報などの相互交換、さらには児童クラブや母親クラブなどの健全育成団体の相互連携などにつきまして、こどもみらい館を中心にネットワーク事業を促進、推進いたしまして、児童館活動の活性化にも努めてきたところであります。  いずれにいたしましても、子供の健全育成のためには、児童館の整備の促進とその活性化は積極的に取り組まなければならない重要な課題と考えておりますので、今後とも、市町村や、去る3月に設置いたしました児童環境づくり推進協議会の御意見も聞きながら、その推進方策などについては十分検討してまいりたいと思っております。  次に、放課後児童対策事業の推進についての御質問にお答えいたします。  放課後児童対策としてのいわゆる学童保育につきましては、昼間家庭に保護者のいない小学校低学年児童を対象に、児童館や学校の空き教室などを利用いたしまして市町村が実施しているものであります。  本県におきます実施状況は、平成元年度の3市16地区から、平成6年度は4市3町38地区へと着実に増加してきております。しかし、指導員や実施場所の確保が難しいなどの問題があり、その取り組みはまだ十分とは言えない状況にございます。  県といたしましては、放課後児童対策を、働く女性の仕事と子育ての両立を支援するという観点とともに、児童の健全育成の面からも重要な施策と考えており、今後とも市町村に対し、積極的に進めるよう指導、支援をしてまいりたいと思っております。  次に、保育所の機能アップ、充実についての御質問とあわせて、保母の育成研修についての御質問にお答えいたします。  近年の女性の社会進出の増大や家庭、地域社会の相互扶助機能の低下などに伴いまして、保育需要は多様化してきております。このため、従来からの定型的な保育だけでは、必ずしもきめ細やかに対応できない状況になっております。このようなことから、保育所は、仕事と子育ての両立支援を図るため多様な保育ニーズをしっかりと受けとめるとともに、地域社会における子育て支援を図り、一層地域に開かれ利用しやすい施設として、その役割を拡充していくことが必要であると考えております。  このため、県といたしましては、仕事と子育ての両立支援を図るための保育機能の充実につきましては、これまでも乳児保育や延長保育、夜間保育、休日保育などの特別保育の充実強化を積極的に推進してきたところでありまして、特に本年度は、対象児童が5人以下の小規模な延長保育に対します助成制度を公立の保育所へも拡大したところであります。  また、地域社会におきます子育て支援を図り、地域に開かれた施設として整備する地域活動事業への取り組みといたしましては、多くの保育所で、幼児期のしつけなどの育児講座の開催でありますとか育児相談の実施、また、老人ホームの慰問などを実施しているところでありまして、今後とも、その積極的な推進を図ってまいりたいと思っております。  なお、このような幅広いメニューに対応するためには、保母などの資質の向上が大変重要であり、また、より体系的、専門的に実施する必要がありますことから、乳児保育、障害児保育、育児相談などに関します研修を県の健康・福祉人材センターに委託いたしまして、その拡充強化に努めてきたところであります。  子供の健全育成のうちの最後の御質問で、民間保育所に対する助成の強化と保母の労働条件の改善についての御質問にお答えいたします。  民間保育所に対しましては、市町村が措置決定いたしました児童数をもとに措置費が支払われておりまして、民間保育所の主要な財源となっております。民間保育所は、この措置費の中から人件費、管理費のほか、給食費や保育材料費など事業費を支出しているわけでございます。  県といたしましては、毎年現況報告や指導監査によります指導などによりまして、その経営実態や労働実態の把握に努めているところであり、保母の確保、入所児童の定員割れなど、特に保育所経営上問題のある保育所につきましては個別に指導を行っているところであります。  今後とも民間保育所の経営の実態や労働の実態の把握に努めまして、児童の処遇改善とあわせて、保母など職員の労働条件などにつきましても、指導監査の機会を通じて適切な指導に努めてまいりたいと考えております。  次に、臓器移植についての数点の御質問に順次お答え申し上げます。  まず、白血病等による骨髄移植についての御質問でございまして、骨髄提供希望者、いわゆるドナーの登録目標とされる910名の達成に向け、市町村や公的病院などに理解、協力を求めていくべきと考えるがどうかという御質問でございます。  御案内のとおり、骨髄移植が成功するためには、白血球の型でありますHLAの型の一致が不可欠でありますが、このHLA型の一致する確率は、兄弟姉妹では4分の1、非血縁者間では数百ないし数万分の1と言われております。したがいまして、より多くの骨髄提供者、いわゆるドナー登録者を確保いたしますためには、全国規模でのマッチングを行うことが必要でございます。このため、この事業については、国の骨髄移植推進財団が主体となりまして、ドナー登録を一元的に管理し、全国規模のマッチングを行っているわけでございます。国におきましては、当面このドナー登録を10万人を目標としておりまして、全国的に募集活動を行っているわけでございます。その中で本県は、ドナー登録されました方々は平成6年5月末現在で469名でございます。したがいまして、移植可能人口は20歳から50歳までの人口でございますが、この人口に対します割合で全国順位を比較いたしますと、全国第12位ということでございます。  県では、これまでも県内のすべての公的病院、市町村、保健所などにポスターやパンフレットを配布するなど、この全国ネットの骨髄バンク事業の普及啓発に努めてきたところであります。また、骨髄提供を行います場合には4日間程度の入院が必要でございます。そのため、県職員におきましてもドナー休暇制度を導入いたしましたほか、県内市町村におきましてもドナー休暇制度が導入されるよう推進方に努めてきたところでございます。今後、さらにドナー登録の拡大を図るため、市町村や医師会、医療機関の御理解、御協力を求めるなど骨髄移植の推進に努めてまいりたいと思っております。  次に、骨髄移植治療に必要な無菌室の増設、あるいは医療スタッフの養成等についての御質問にお答え申し上げます。  骨髄移植を推進するためには、施設面におきましては無菌病室の設置が不可欠でありまして、県立中央病院におきましても、このたびの新病棟の整備の際に、無菌病室2床を整備するとともに専門医等のスタッフを配置し、平成4年6月から骨髄移植を行う態勢を整えたところでございます。  県立中央病院におきます骨髄移植は、平成4年度が3人でございましたが、平成5年度は10人、そして平成6年度は6月現在3人を行っておりまして、これまで合計16人と着実に増えてきております。これまでの状況からいたしますと、現在の県立中央病院の2床態勢で当面対応していけるものと考えております。  なお、今後県内の他の公的病院におきまして、医療スタッフが整えられ、改築時に無菌室を整備したいとの意向がありました場合には、県としても積極的に支援してまいりたいと思っております。  なお、専門医の養成についての御質問がございましたが、骨髄移植を担う専門医の養成研修につきましては、一般的に、まず大学等におきまして少なくとも数年以上の研究あるいは診療が行われまして、その後、例えば本県の中央病院のような実務病院において実務経験を積まれ、そして習熟をされ、専門医が誕生するということで、数年以上の養成期間が必要でございます。県内においては、大学におけるそのような研修は行われておりませんが、本県におきましては県立中央病院が、先ほど申し上げましたように骨髄移植を実施してきておりますので、その実施状況からいたしますと、今後新たな専門医も、その実施に伴いまして養成されてくるものと期待をしておるところでございます。  次に、骨髄バンク事業に関するシンポジウム、講演会などの開催についての御質問にお答えいたします。  県ではこれまで、骨髄バンクの普及啓発のため、ポスターやパンフレットの配布、保健所への啓発用ビデオの配置、さらには12月の骨髄バンク推進月間を中心にマスメディアを活用した啓発活動を実施してきたところであります。また、骨髄バンク事業に関しますシンポジウムや講演会は、これまでボランティア団体などが中心となって開催されておりますが、県といたしましても後援を行ってきたところでございます。いずれにいたしましても、県としても骨髄バンク事業の一層の普及啓発に努めてまいりたいと思っております。  次の、骨髄移植にかかわる者から成る骨髄バンク推進連絡会議の設置についての御質問でございますが、この御提案の骨髄バンク推進連絡会議の設置につきましては、関係者の意見を聞くなど、今後研究してまいりたいと思っております。  次に、重度腎臓病患者対策についての数点の御質問にお答えいたします。  まず、県内の腎臓移植希望者は384名であるが、一方、提供希望登録者は5,407名とまだ少ない。もっとドナーを増やすべきでないか、そのPR活動についての御質問でございます。  腎臓移植は、腎不全の根治療法として、本県では県立中央病院と富山医科薬科大学附属病院におきまして、本年3月までに生体腎移植が20件、死体腎移植が10件実施されております。腎移植を希望いたします患者の要望にこたえるためには、公的バンクによります死体腎あっせんの推進とドナー登録の拡大を図る必要がございます。  このため、県におきましては平成元年に富山県腎臓バンクを設立させ、バンクの基盤強化を行うための出捐を行うとともに、毎年運営費の補助を行ってきたところであります。さらに毎年10月が腎移植推進月間でございますので、この月間を中心に普及啓発活動を実施いたしましてドナー登録の拡大を呼びかけてきたところでございます。この結果、平成6年3月末現在の本県のドナー登録者は5,407名でございまして、人口比でまいりますと全国第9位と上位にあり、普及啓発が浸透してきたものと考えております。  いずれにいたしましても、腎臓移植は組織適合性の一致が必要でありますことから、ドナー登録の拡大が移植のための環境整備の第一歩と認識しておりますので、今後とも献腎思想の普及啓発には努めてまいりたいと思っております。  次に、富山県腎友会におきます各種の要求に対しましての県の所見のお尋ねについてお答え申し上げます。  富山県腎友会の御要望のうち、まず腎疾患対策につきましては、尿検査などの健康診査、腎疾患に関します健康教育や健康相談といった保健事業をはじめといたしまして、公的病院におきます人工透析装置の整備への支援、また、先ほど申し上げました富山県腎臓バンクによります腎臓提供登録の受付、さらには医療費の公費負担など、保健から医療にわたる総合的な腎疾患対策を既に実施しているところであります。  次に、要介護透析患者についての問題でございますが、本年1月現在、県内には七十数名の方がその要介護透析患者に該当するかと考えておりますが、その大半の方はもう既に医療施設に入院して治療を受けておられるというのが実態でございます。  また、夜間透析につきましても、県内4つの医療圏すべてで行われておりますし、ちなみに県内で夜間透析を行っておりますのは22医療機関ございます。また、市町村の患者会づくりにつきましては、これは患者同士がそれぞれの地域の実情に応じて、自主的に組織されるべきものではないかと考えております。  いずれにいたしましても、県においてはこれまでも県の腎友会とともに街頭キャンペーンなどの普及啓発活動を実施してきておりまして、今後とも県の腎友会とは連携を図り、腎疾患対策の一層の充実に努めていきたいと思っております。  最後の御質問で、現在国会で審議されております臓器移植法案についての御質問にお答えいたします。
     平成4年1月に出されました、臨時脳死及び臓器移植調査会の脳死及び臓器移植に関する重要事項についての答申を受け、脳死からの臓器移植を認める臓器移植に関する法律案が、去る4月12日に議員立法として国会に提出されたところでございます。  お尋ねの脳死段階の臓器移植の是非につきましては、現在医学的、倫理的、法的にさまざまな観点から国会において論議がなされており、その審議状況に関心を持って見守っているところでございます。  これについての医師である厚生部長、私の所見をということでございますが、私自身は、まず脳死については、これは人の死であると思っております。さらに、この臓器移植につきましては、重篤な疾病にかかりまして臓器移植でなければ救えないような患者さん方がおられるわけでございます。その方々に対して、人間愛に満ちた臓器を提供していただけるという、そのような臓器がありました場合、この臓器を使った臓器移植というものはやるべきであろうと思っております。そのためには、従来のように心臓死からの臓器移植よりも、脳死段階での臓器移植のほうがその後の生着率あるいは成功率というものが高いということも事実でございます。その観点から、先ほど申し上げましたように、脳死が人の死と私は思っておりますので、脳死の段階における臓器移植は、これは関係者、多くの国民を含め、移植関係者皆様方のコンセンサス、理解が得られるならば、ぜひ積極的に進めるべきであろうと、このように思っておるわけでございまして、国の審議の行方を大変注意深く見守っているということで御理解を賜りたいと思っております。  以上でございます。 22 ◯議長(西島栄作君)小川 晃君。    〔3番小川 晃君登壇〕 23 ◯3番(小川 晃君)再質問、簡単に2点行いたいと思います。  1つは地域開発の問題でございますが、知事は御答弁の中で、いわゆる未線引きの地域において、小規模な住宅開発などが行われたということをおっしゃり、さほど大きな問題がないからか、現在線引きの全県的な見直しについては必要ない、こういう趣旨の御答弁があったかというふうに思います。  私は質問の中で申し上げましたが、ぜひ実態をよく見ていただきたいというふうに思うわけであります。いわゆる新産都市計画が策定をされて線引きがなされた当時は、確かに開発すべき地域とそうでない地域を定めて、こういうことが必要だということについてはだれもが認識をしておりましたし、今日のようないわゆる都市間競争といいますか、そういったものを全然想定しておらなかったわけであります。ところが、いわゆる東京一極集中や、そしてまた都市間のいろんな競争が盛んになってくる、そして、それぞれの市町村が人口の流出を食いとめようということで、あるいは若年者を食いとめようということで、いろんな開発行為をなさるわけであります。  今日とその新産都市計画で線引きをした時期とを比較しますと、明らかにそういう時代の相違があって、私は、先ほど若干私の地域のことで申し上げましたが、ぜひ来て見ていただきたい。わざわざかどうかは知りませんけれども、境界線のところへ来て工場をどんどん建てる、あるいは住宅を建てるということになりますと、どうしても不公平感を免れないわけであります。開発許可を与えるのは知事でありますから、そういったことについての開発許可は慎重になさるということも一つの方法ではないか。そういう意味で、全県的に、こういった問題を惹起しているところ、あるいはそういった不公平感のあるところ、こういうことについて私は見直すべきではないかというふうに思いますので、もう一度そういった点についての御答弁をいただきたいと思います。  それから、教育長に簡単にお尋ねしますが、いわゆる校則による丸刈り強制の問題でありますが、要するに、各学校において適切に見直しが図られるべきだということで、間接的にはこれを進めるべきだというふうに私は受け取りましたけれども、ただ、福岡県の校長がそのことで隔離授業を行ったことに対して、これは適切でなかったという答弁をなさったわけであります。校則がある以上、それを破れば、それに対していじめが発生したり、やはりそれに対して一定の処置をしなければならない。子どもの権利条約というものに照らしても、子供の自由な表現権、こういう面からいきましても私は、丸刈り強制はいかにも前近代的な校則である。この際、時代の進展にあわせて、子どもの権利条約に照らして、これは、強制をするのは校則から外すように、これをきちっと指導すべきではないかということを質問いたしましたので、その学校に任せるのではなくて、教育委員会として適切に指導なさるべきだというふうに思いますので、この点についても、もう一度御答弁をお願いをいたします。  以上であります。 24 ◯議長(西島栄作君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 25 ◯知事(中沖 豊君)小川議員の再質問にお答えいたします。  御指摘がありましたように、市街化調整区域と未線引きの都市計画区域においては、開発に若干の差があるというのも見られるところであります。こうした点につきましては、私もやはり問題であるというふうには思っておりますが、今後、さらに実態も私なりに見てまいりたいと思いますし、またこの未線引きの都市計画区域の線引きにつきましては、やはり地元市町の意見を聞く必要もあるわけでありますから、関係市町の意見も聞いてみたいと思うわけであります。 26 ◯議長(西島栄作君)吉枝教育長。    〔教育長吉枝信朗君登壇〕 27 ◯教育長(吉枝信朗君)小川議員の再質問にお答えいたします。  先ほども答弁いたしましたが、それぞれの学校で適切に考え、見直しを図っていくことが最も好ましいというように考えておるわけでございます。今のところ特に指導する考えはございませんが、ただ、丸刈りの学校では、それについての見直しを考えておるということを聞いております。 28 ◯議長(西島栄作君)暫時休憩いたします。  午前11時57分休憩      ─────────────────────  午後1時17分開議 29 ◯副議長(中川久尚君)休憩前に引き続き会議を開きます。  上田信雅君。    〔18番上田信雅君登壇〕 30 ◯18番(上田信雅君)私は、次の3点について質問をいたします。第1は米農業政策について、第2は国際化に向けて、第3は県西部の道路整備と改良について、知事並びに関係部長にお伺いいたします。  「2000年以降の食糧不足深刻」とする世界人口白書をはじめ、国連食糧農業機関など数多くの研究機関レポートが公表されております。ガット・ウルグアイ・ラウンドの自由貿易体制強化の流れに反し、FAO・国連食糧農業機関は、途上国の穀物不足は2000年に9,500万トンと述べており、それは低所得国の人口増加と中所得国の工業化、肉食の増加などが原因といっている。ゆえに、食糧安全保障の最善の方法は食糧の自給であると報告をいたしております。  2つの議論に大きな矛盾があります。すなわち、生命は食糧に依存するのに対して、車は生産性がすぐれているからといって、米を食べるのをやめて車を食べて生きていくことはできない。すなわち、主食の米と車のこの2つの異質なものを一つのテーブルの上で考えることに間違いがあり、今、世界各地で宗教紛争や民族紛争などによる戦争が絶え間なく発生している現実を眺めるときに、21世紀に向けて国民への食糧の安定供給の責任をだれが持つのか国民に示していただきたいと思いを込めて、まず最初に本県の米農業政策についてお伺いをいたします。  まず、ガット・ウルグアイ・ラウンドによる米の市場部分開放の受け入れ、そして昨年の低温・長雨などによる戦後最悪の米の不作に伴う緊急輸入、さらに後継者不足や耕作を放棄する田んぼの増加、平成米騒動など一連の問題が発生し、今政府は、農政審議会で農業政策についての議論をなされているところでありますが、いずれにしろ、やる気のある農家に意欲を持たせる長期展望を示すことが最も重要であると思います。  その第1は、国民の主食である米については将来とも自給を堅持する、さらに、米の備蓄は国民の米の消費量の3カ月分とすることなどについて、日本の農業政策の基本的問題でもあり、国会の決議は当てにならないので、米の生産県の知事の提案で知事会で決議するべきであると思うが、知事の所見をお伺いいたします。  次に、米価決定の方法でありますが、政府買い入れ価格──生産者米価についてでありますが、米価審議会において生産者所得補償方式で決定されているとするが、国内の需給バランスを考慮のうえの価格決定であり、食管会計の赤字減らしと思われる節があります。米の価格を上げることが適当であるかないかは別として、農家が経営努力をすれば農家所得が増えるような価格決定の仕組みを明らかにすべきである。生産者にとって流通・販売のままならない農政の中で、一層深刻な農業環境のもとで、やる気のある農家に励みとなる米価が決定されるべきであると思うが、農林水産部長の所見をお伺いいたします。  規模拡大や複合経営など積極的に自立農業を目指して取り組む農家に対して、農林水産省は新農業政策の中で、支援体制の充実策として認定農業者を21世紀の農業の中核に位置づけ、農地の集積の支援や税負担の軽減、低利資金の融資など優遇を受けられるとしているが、この認定農業者についての本県の取り組みについて農林水産部長にお伺いいたします。  第2点は、国際化の問題についてお伺いいたします。  まず最初に、富山-大連便の定期航路の開設の見通しについてお伺いいたします。  環日本海時代を迎え、富山-ソウル便、そして来月より富山-ウラジオストク便と、富山が空の玄関口として着々と整備されてきていることに対して、関係各位の努力に感謝を申し上げます。  さて、あと1つ、中国大連便の航路開設についてであります。ことしは富山県と遼寧省との友好県省10周年の年であります。この記念の年に当たり、先般、経済界、民間によるチャーター便を利用して大連便促進訪問団が路線開設の働きかけをするなど、県民の大連便への期待が大きいのであります。この航路が開設されると、富山空港が本州日本海側での中国線として最初となり、環日本海時代の日本海側の空の玄関の拠点となるのであります。友好県省の10周年の記念式典に知事は訪中されましたが、富山-大連便の航路開設の要望をされたと聞いておりますが、その見通しをお尋ねいたします。  さて、最近、本県から国外へ出かける人、外国から富山県に来る人が驚異的に増えております。好ましいことと思っておりますが、参考に、富山県における旅券の発給件数は4万件を超え、10年間で約2倍であります。また、外国人の富山県内在住者は、平成4年4,400人余りで人口の0.4%、前年比1,000人増えております。県内の市や町においても外国との友好提携を結び、市民レベルの草の根交流が行われております。また、青少年の交流も活発に行われており、国際交流の成果は、国際理解を深め、世界平和と地域の活性化、そして個人にとって広い視野を持つことになり、大いに促進すべきものであると思います。  さきに述べましたが、富山県と中国遼寧省友好県省10周年の記念の年であり、先月、中沖知事を団長に、一行が10周年の式典に出席され、友好10年の成果とこれからの両県省の親密な関係の維持発展が話し合われたと思いますが、主として今日までの交流は文化、スポーツ、教育などの交流が主体であり、これからは一歩進めて、経済交流に発展させなければ真の友好関係と言えないと思います。しかし、経済関係は利害を伴うこともあり、無軌道な経済交流は混乱をもたらし、友好関係を阻害することもあり得ることであり、経済交流のルールづくりなど共通の理解の拡大が肝要と思うが、商工労働部長にこの点についてどのようにお考えかお伺いいたします。  次の質問であります。外国人の平成4年県内在住者の国別の内訳は、韓国・朝鮮1,877人、ブラジル970人、中国542人、フィリピン495人、アメリカ125人がベストファイブであります。外国人の県内在住者の合計は4,413人で、このように多くの方が県内に在住されており、そして前年対比1,000人も増えております。増加の傾向、そして頻繁に出入国されることでもあり、日本語の堪能な方は別として、日本での生活になるべく支障のないように、さまざまなトラブルや事故などを未然に防止するうえにも、外国人のための生活ガイドブックをその国の国語と和文併用で作成して、日本の生活に順応してもらうよう配慮すべきと思うが、その実情と対応をお伺いいたします。  次に、在住外国人留学生の支援についてお伺いいたします。  先日、富山大学に通っている中国からの留学生と歓談したところ、私費留学生でありますが、アルバイトと学生との両立は大変であり、しかしアルバイトをやらないと生活できませんのでと言葉を濁していました。この学生はいずれ留学生活を終えて中国に帰り、日本での数年間の生活が彼の人生にどのように刻み込まれていくのか、彼らに対する支援が彼らのためになるのか、ふと疑問を感じました。しかし、事情によっては無理なアルバイトで病気になるとか、学問がおろそかになるとかということであれば、外国人の留学生専用の、一般よりも低廉な宿舎を提供するなど、外国人留学生の生活の実態と支援についてお伺いいたします。  次の質問に入ります。近年、砺波地方にブラジルからの二世、三世の方が企業へ労働者として働きに来ております。その子弟が砺波教育事務所管内の小学校に11人、中学校に4人の生徒がおります。ブラジルの国語はポルトガル語でありますので、生徒との会話に困難な様子であります。さらに、授業になると先生は大変御苦労されておると聞いております。国際化により教育の現場で新たな問題が生じてきました。県内には、ブラジルのみならず、他の国の生徒も当然いると思います。それぞれに対応することは、財源的にも人材面においても大変難しいことだと思いますが、このような子供たちの教育について教育長はどのように対応されるお考えか、お伺いいたします。  また、外国語の話せる人材を県内に広く求めて活用することができないか、あわせてお伺いをいたします。  第3に、道路の整備、改良についてお伺いをいたします。  県土の均衡ある発展と県民の利便性が高まることから、道路に対する要望が大変多いのであります。特に、国土の骨格である高速道路網の整備により、自動車の大型化、交通量、そして流れに大きな変化が生じます。高速道路のインターのアクセス整備が重要であるということは言うまでもないことであります。そこで、路線名を挙げて、現状と見通しについて土木部長にお伺いをいたします。  まず、国道156号線の改良の促進であります。  目下、鋭意努力をしていただいておりますが、観光の町井波や、庄川峡や温泉のある庄川町、そして五箇山の秘境へと、自然の豊かな魅力的な観光ルートであり、高速道路の開通とともに観光客の増加が期待されますので、改良の促進をお願いいたします。今後の見通しについてお伺いをいたします。  次に、国道359号線の砺波東バイパスの整備についてお伺いいたします。  県都富山と金沢を結ぶ最短距離の道路で、高速道路のアクセス的な道路で、交通量が増える傾向にあります。特に、計画路線の沿線には市の運動公園、建設予定の県西部体育館や県民公園の頼成の森、チューリップ公園など、緑化フェアや国体の主要会場と接しており、極めて道路整備の緊急性が高いのであります。早急な対応をどのようにお考えかお伺いをいたします。  次に、国道359号線の整備に関連してお伺いいたしますが、21世紀に向けて日本一の花と緑の県づくりを目指す中沖県政において、平成8年の全国都市緑化とやまフェアは大変意義のあることであります。その記念事業として、とやまのみちBIG作戦、花や緑がいっぱいのシンボルロード・オアシス道の駅、その適地は砺波平野に広がり、立山の眺望も美しく、庄川の清流、散居と屋敷林、色鮮やかなチューリップ畑、このような田園風景はドライバーが休息する最適地と思われます。国道359号線の沿線などに花や緑がいっぱいのオアシス道の駅を考えられないかお伺いいたします。  次に、能越自動車道小矢部東インターのアクセスについてお伺いいたします。  平成7年10月の供用開始に当たってのアクセス道路である砺波小矢部線であります。この道路は幅が狭く危険な状態で、沿線住民から改良の要望があり、早急な改良をお願いいたします。  なお、当面の対策として、小矢部東インターから砺波小矢部線に接続して福光福岡線の分岐点までぜひ早期改良をしていただきたいと思いますが、土木部長のお考えをお伺いいたします。  次に、高岡砺波地区県営ふるさと農道整備事業についてお伺いいたします。  この道路は沿線住民の要望の高い道路であります。私は、昭和62年に県議会議員になって最初の質問でお尋ねをしたことがあります。また、今はお亡くなりになりましたが、上銘元県議や岡部砺波市長、先輩宮本県議、同僚米原県議も、機会あるごとにこの道路の必要性をただしてきました。  この道路がなぜ重要であるかと申しますと、主要地方道富山戸出小矢部線と県道坪野小矢部線の中間に新設の農道が計画されると、東西の道路の密度の薄いところに交通のネットワーク化が図られ、そして高速道路のアクセスとなり、また庄川による高岡・砺波と射水・呉羽との分断を防ぎ、交流と利便性がよくなり、農林業の振興に大きく寄与いたします。また、昭和63年に策定された富山中央部丘の夢構想調査報告書の中に、この道路の必要性が記されております。  今日まで実現には財源など難しい面もありましたが、平成5年に農水省において県営ふるさと農道・林道事業の整備手法が明らかになり、知事の今年度提案理由の中にも、農山村における生活基盤や生活環境の充実を図るために農道・林道の整備を積極的に推進すると述べられており、このような状況の中で、長年の悲願の道路の実現の見通しが明るくなったと理解をいたしております。地元高岡市、砺波市では、佐藤高岡市長を会長に高岡砺波地区道路整備連絡協議会を設立して、地元の熱意を示しております。この道路の実現に向けて知事の御理解ある御答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。 31 ◯副議長(中川久尚君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 32 ◯知事(中沖 豊君)上田議員の御質問にお答えいたします。  最初の御質問は米農業政策についてでありますが、そのうちの、国民の主食である米について将来とも自給を堅持すること、消費量の3カ月分を備蓄することなどを、米産県の知事の提案で知事会で決議すべきであると思うがどうかという御質問であります。  これまでも申し上げてきておりますが、米は国民の主食であり、稲作は国土や自然環境の保全などに大きな役割を果たしてきていることなどから、米の国内自給方針は今後とも堅持すべきものであると考えております。また、米の生産は自然条件に左右されやすく、不作などの不測の事態にも安定供給を確保し、国民生活を安定させるために、ゆとりある備蓄を形成すべきものと考えております。  このため県といたしましては、国において取りまとめられる対策に県の考え方が最大限盛り込まれますように、先般、農林水産省等に対しまして強く要望したところであります。また、全国知事会におきましては昨年12月に緊急要望もいたしておりますが、この7月下旬には、国の施策並び予算に関する要望の中で、新たな農業政策の確立を重点として要望することにいたしております。  なお、私は現在知事会の農林商工委員長も務めておるわけでありますが、今後とも、ゆとりのある備蓄の形成などの本県の要望が十分反映されますように一生懸命努力してまいりたいと考えております。  次は、国際化問題についての御質問でありますが、そのうちの、富山-大連便の定期航路開設の見通しについての御質問にお答えいたします。  富山-大連便は、本県が21世紀に向けて環日本海交流の中核拠点として発展するためにも、また、富山県と中国遼寧省との間のさまざまな分野での交流を一層活性化するためにも、不可欠の重要路線であると考えております。  このために、先般、友好県省締結10周年記念式典のために訪中いたしました際、中国政府、中国関係の航空会社、遼寧省政府等に対しまして、富山-大連便の実現に向けて要請を行いましたが、積極的に協力したいという回答をいただいたところであります。  この便の実現につきましては、日中両国間の航空交渉で合意に達する必要がありますために、必ずしも容易でない面もあるわけでありますが、県といたしましては、早期開設に向けて関係団体の協力も得ながら、チャーター便による実績づくりを進めてまいりたいと考えております。また今後とも、この便の必要性や優位性などにつきまして、両国政府、航空会社等の関係機関に対しまして強力に働きかけてまいりたいと考えております。  最後は、道路の整備、改良についての御質問のうち、富山戸出小矢部線と坪野小矢部線の中間の道路新設について、県営ふるさと農道として取り組んでもらいたいが、所見はどうかという御質問であります。  御質問の道路につきましては、まず基本的には、既存の国道359号や県道富山戸出小矢部線など幹線道路との整合を図ること、また、西部地域の道路網の中でのこの路線の位置づけなどを十分検討する必要があると考えております。  次に、整備手法についてでありますが、これにつきましては、従来の農道としての補助事業では、農業経済効果という採択上の制約がありまして実施が非常に困難でありましたが、御指摘もありましたふるさと農道整備事業については、制度の弾力的な運用が図られるようになったところであります。ただ、この制度は現在平成9年度までの制度でありますことから、期間的に困難な問題もあります。  いずれにいたしましても、県といたしましては、長期的な展望に立ってこの路線の必要性や整備手法について検討してまいりたいと考えております。  以上であります。 33 ◯副議長(中川久尚君)堀田農林水産部長。    〔農林水産部長堀田 稔君登壇〕 34 ◯農林水産部長(堀田 稔君)米農業政策の質問のうち、やる気のある農家にとって励みとなる生産者米価を決定すべきであると思うがどうかにお答えをいたします。  本県におきます米の出荷状況につきましては、平成4年度の実績で自主流通米が83.9%、政府米が16.1%となっておりまして、自主流通米が出荷の大宗を占めている現状でございます。  県といたしましては、政府米の価格、いわゆる生産者米価については、意欲ある農家が中長期にわたって計画的に営農を展開できるような米価水準となるよう、先般、国に対し強く要望したところでございます。さらに昨日、北陸4県知事名で、ことしの米価について、稲作農家の生産意欲の喚起、意欲ある経営体の育成及び昨今の需給情勢を踏まえた全量集荷の推進にも配慮した価格となるよう、農林水産大臣、大蔵大臣をはじめ、関係者に対し要請したところでございます。  また、自主流通米につきましても、良質米生産農家の所得確保や経営の安定に資する施策を国が強力に進めていくことが極めて重要であると考えておりまして、これまで自主流通対策費の現行水準の維持や、例えば政府管理米として出荷された米に対して奨励措置を拡大することなど、正直者がばかを見ないような制度の改正を行うよう国に要望してきたところでございます。  県といたしましても、激化する米の産地間競争に本県産米が打ちかっていけるように、農家の品質改善対策等に対しても支援をしてまいりたいと考えております。  次に、農林水産省の新政策で認定農業者制度を設けておるが、本県において認定農業者の取り組みについてはどうかという御質問にお答えをいたします。  農業経営基盤強化促進法では、従来の農地の利用調整による規模拡大を中心とした制度を改正し、効率的かつ安定的な農業経営ができるように、規模の拡大にあわせ、生産方式、経営管理の合理化、就業条件の改善など経営全体の基盤を強化することを目的に、この認定農家をつくろうとしておるものでございます。  本県では、この法律に基づきまして基本方針を昨年12月に作成し、10年後に農業従事者1人当たり1,800時間の年間労働時間で800万円の年間農業所得を実現するなど、他産業従事者と遜色のない水準の経営体の育成を目標としたところでございます。また、市町村におきましては、県の基本方針を参考に基本構想を策定することとなっており、昨年9市町で、本年は残りのすべての市町において策定するように指導しているところでございます。  認定農業者制度は、市町村のこの基本構想に基づき、農業経営の改善を図ろうとする計画を策定した中核的な農業者の、その方の申請により市町村長が認定するものでございます。県といたしましては、基本構想に掲げる農業構造が早期に達成されるよう、集落営農組織等の生産組織や中核農家の中からできるだけ多くの農業者が認定され、力の強い経営体として育成されるよう指導してまいりたいと考えております。  今後、認定農業者に対しましては、今回新たに設けられました低利の融資制度や、従来からあります国の制度、県単独の事業制度等を積極的に活用しまして、認定農業者がみずからの創意工夫で効率的かつ安定的な農業経営を早期に実現できるように支援してまいりたいと考えております。 35 ◯副議長(中川久尚君)佐藤商工労働部長。    〔商工労働部長佐藤哲哉君登壇〕 36 ◯商工労働部長(佐藤哲哉君)遼寧省との関係で、経済交流のルールづくりなどの共通理解の拡大についてのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。  環日本海交流の拠点づくりを目指します本県にとりまして、対岸諸国との経済交流は大変重要であると考えております。中国遼寧省とは、友好県省締結以来、活発な経済交流が行われており、繊維、食品加工を中心に合弁企業や現地企業への生産委託などが行われております。今後さらに、中国の積極的な外資導入政策や大連・瀋陽経済技術開発区の整備など経済の開放と発展に伴いまして、貿易投資など相互の経済交流はますます拡大するものと思われます。  具体的な経済交流につきましては、基本的に日中相互の企業レベルでの判断に基づき行われるべきものではありますが、両国の間には社会経済体制や慣習などさまざまな面で相違点があることから、貿易投資に伴いますリスクや雇用、公害などの問題が発生するおそれもあり、事前に十分な調整、検討が必要であると考えております。  県といたしましてもこれまで、経済交流を促進するために、遼寧省投資環境調査団の派遣や遼寧省企業家代表団の受け入れ、中国に関する経済セミナーの開催など、交流の環境づくりに取り組んできているところでございます。また、双方の現地情報を的確に収集し、これを双方に提供することが重要であると考えていることから、環日本海地域の貿易投資に関する生きた情報を提供するため、昨年10月から、日本貿易振興会との連携のもとに、環日本海貿易交流センター事業を開始したところであります。  今後とも、これらの事業の拡大、充実を通じまして、相互の理解と認識を深めていくことにより、企業が経済交流を進めるうえでの問題の発生を未然に防止して、両県省の友好な経済交流の発展に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 37 ◯副議長(中川久尚君)内貴総務部長。    〔総務部長内貴 滋君登壇〕 38 ◯総務部長(内貴 滋君)国際化問題についての2つの御質問にお答えします。
     まず、外国語と和文併記の生活ガイドブックについてのお尋ねでございます。  法務省の統計によりますと、県内に在住している外国人登録者数はさらに増えまして、平成5年12月末現在で4,919名と、年々増加してきております。県では、外国人の皆さんが本県で生活しやすいように、平成2年度に、交通機関の利用方法、緊急時の連絡先など日常生活に必要な情報を、国際語であります英語と日本語で併記した生活ガイドブックを作成しまして、とやま国際センター等を通じて外国の方々に配布しているところでございます。  さらに、県単独の国際交流のまちづくり推進事業等を創設いたしまして、市町村の各種の国際交流事業を支援しているわけでございますけれども、その結果、ガイドブックにつきましては、現在5市町村におきまして、それぞれの市町村の特色やごみ収集の情報、身近な施設の利用案内等、きめ細かな情報を盛り込んだ英語版の生活ガイドブックが作成されているところでございます。  また、とやま国際センターにおきましては、近年、英語にふなれなブラジル人や韓国人等の在住外国人の方々が増加していることに対応いたしまして、平成4年にポルトガル語、タガログ語、そしてハングルによる外国人相談窓口を開設しておりまして、母国語で親身に相談に乗っているところでございますが、そのほか平成5年から、イベントや生活の情報を掲載いたしました英語情報誌にポルトガル語やハングルによるページを加えるなど、在住外国人の多様化に対応しているところでございます。  さらに、御指摘の在住ブラジル人につきましても、在住ブラジル人の最も多い高岡市では、本年度、自治省の国際交流のまち推進プロジェクトの指定を受けまして、ポルトガル語の生活ガイドブックの作成を予定しておりますので、県といたしましても必要な支援、協力を行いますとともに、市町村やとやま国際センター等と連携を図りながら、ポルトガル語等必要性の高い言語により、県下全体に共通する生活情報の提供にさらに努めてまいりたいと考えております。  第2は、県内在住の外国人留学生について、支援の実態と今後の方針を問うとのお尋ねでございます。  県内における各国からの留学生は、昭和63年5月に57名であったものが、ことしの2月には220名近くと約4倍に増えまして、出身国も20カ国以上に上り、その留学先も県内のほとんどの大学に広がっている状況でございます。  次に、留学生に対する支援についてでありますが、まず、各大学におきまして留学生相談室等を設けるなどいたしまして、大学での勉学や生活に関するきめ細かな相談を幅広く行っておりまして、議員御指摘の留学生の宿舎につきましても、学生寮や下宿、アパートに関する情報等の提供をきめ細かく行っているなど、努力していると理解いたしております。また、とやま国際センターでは、留学生を含む外国人に対しまして母国語による相談業務も行っていますほか、県民との交流を目的として国際交流の集い等のさまざまな催しを行っております。  県といたしましても、友好提携先などから受け入れています県費留学生につきましては、宿舎の手配や生活費を含めて県で責任を持って行っております。また、御指摘の十分な公的援助を受けていない私費の留学生を対象に、国際交流奨学金を給付いたしますとともに、国民健康保険加入費を市町村と共同で助成をいたしております。さらに、県内のすべての留学生に対しまして図書券も交付して、勉学を支援しているところでございます。今後も、富山県留学生等交流推進会議におきまして関係団体間の連携を図りながら、情報把握に努めて留学生を支援してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、留学生の受け入れは、各国のリーダーとなる人材育成への協力であるのみならず、帰国後、富山県、ひいては日本との友好に尽力する貴重な存在として活躍されるわけでございます。議員の御意見にありましたように、ここでの生活が帰国後の留学生にとってどう映るのか、そして心の交流が大切であるとの御提言でございますが、それに関連いたしまして、議員がいろいろ御尽力されておられます中国の留学生のことを思い出します。  教えていただいた話でありますけれども、中国の清朝の時代、あの有名な魯迅がまだ若い時代のことですが、官費留学生として日本に留学しました。当時、医学を志しまして仙台の医学専門学校で学んでいましたけれども、授業の状況から彼の日本語の理解の能力が十分でないと察しました、藤野巌九郎先生という方ですが、彼の講義ノートを無理やり提出させまして、そのノートを補充、添削したわけでございます。そのノートは初めのページから終わりのページまで真っ赤になるまで補充、添削がなされておりまして、彼が学校を卒業するまで続いたということでございます。魯迅は帰国後、そのノートを一生大切にいたしますとともに、藤野先生の写真を自室に掲げまして、彼の言葉で言えば、苦しいとき夜ごとに、そして仕事に飽きて怠けたくなるとき、その藤野先生の写真を仰ぎ見て、励まされて小説を書き続け、ついには大作家、大思想家になるわけであります。彼はその生涯を閉じるまで藤野先生への感謝の念を抱き続けたと聞いております。  藤野先生が当時の地方都市仙台に住み、留学生を助けましたように、心の交流を大切にしている富山県におきましては、決して他県に劣ることのない、多くの藤野先生のような方々がいらっしゃるわけでございますので、そのような温かい心でこれからも留学生を支援していきたいと考えております。 39 ◯副議長(中川久尚君)千葉警察本部長。    〔警察本部長千葉行雄君登壇〕 40 ◯警察本部長(千葉行雄君)外国人用の生活ガイドブックを作成すべきだと思うがどうかという質問に対する、警察の実情と対応についてお答えをいたします。  来日外国人の増加に伴いまして、県内におきましても、外国人が言語や生活習慣等の違いから被害にあっても届け出をしないとか、あるいは騒音とかごみの問題等で周辺住民とトラブルを起こすケース等が見られるところでございます。警察といたしましては、外国人犯罪の取り締まりとあわせまして、来日外国人の保護という立場から、防犯広報でございますとか困り事相談、あるいは外国人運転者の交通安全対策等の推進を図っているところでございますが、具体的には、英語、ロシア語によります外国人向けの防犯パンフレットの作成・配布、それから外国人研修生等を対象とした防犯交通教室の開催、さらには警察の受付に外国語案内板を設置するなどの各種相談窓口の充実、こういうものに努めているところでございます。  なお、防犯パンフレットにつきましては、現在、英語とロシア語のものがあるわけでございますけれども、中国語、ポルトガル語によるものにつきましても近く作成をいたす予定にいたしております。  以上でございます。 41 ◯副議長(中川久尚君)吉枝教育長。    〔教育長吉枝信朗君登壇〕 42 ◯教育長(吉枝信朗君)国際化問題についてのうち、県内で働いている日系ブラジル人などの子弟の教育について、教育現場の新たな問題になっているが、どのように対応をしていくのか。また、県内の外国語の話せる人材を求めて活用する考えはないかという御質問にお答えをいたします。  外国人労働者の増加に伴い、本県でも日本語指導を必要とする児童生徒が増えておるところでございまして、その児童生徒数は平成6年5月1日現在で69人でございます。外国人児童生徒教育は、言葉、生活習慣、気候などが異なる児童生徒を対象とするのでありますが、外国人児童生徒を温かく受け入れ、主体的に日本の生活になじませていくことが大切であると考えております。  県の教育委員会としましては、外国人児童生徒の手引を配布し、適応指導とかあるいは編入学年、保護者への連絡、教科書の扱いなど、具体についての指導を行っているところでございます。今年度新たに帰国児童生徒・外国人児童生徒検討委員会を発足させ、外国人児童生徒について調査研究をするとともに、当該児童生徒を担任しております教師を対象に、帰国児童生徒・外国人児童生徒教育研修会を開催し、指導事例の発表だとかあるいは国際センターにおける情報交換などによりまして、外国人児童生徒教育の振興、充実に努めているところでございます。  また、外国人児童生徒の在籍数の多い学校につきましては、現在3校へ教員を配置しているところでございますが、今後とも外国人児童生徒数の変動と受け入れ学校の実態を見ながら対処してまいりたいと考えております。  また、富山市と高岡市では講師派遣による学校訪問や日本語指導教室の開催、そして黒部市では地域ぐるみの帰国児童生徒・外国人児童生徒の受け入れを行っております。外国人児童生徒の受け入れにつきましては、学校や教育委員会だけでなく、市町村や市民レベルでの援助も必要であり、企業、団体、地域で、ポルトガル語をはじめとして外国語を話せる人、理解のある人たちの協力を得ることができるように今後も努力してまいりたいと考えております。  以上でございます。 43 ◯副議長(中川久尚君)望月土木部長。    〔土木部長望月倫也君登壇〕 44 ◯土木部長(望月倫也君)道路の整備、改良についての御質問にお答え申し上げます。  まず、国道156号の改良の促進の見通しについてでございます。  国道156号につきましては、建設省において、砺波市太郎丸から庄川町経由、井波町岩屋の間約5.3キロメーターを、砺波除雪拡幅事業として鋭意拡幅整備が進められているところであります。  その整備状況につきまして、北から順次説明申し上げますと、まず砺波市太郎丸から五郎丸までの間約600メートルにつきましては、幅員28メートル、4車線で整備を終えております。次に、砺波市五郎丸からさらに約1,200メートルにつきましては、幅員28メートル、4車線、同一の幅員でございますが、それで用地買収並びに拡幅工事を鋭意進めている現状でございます。また、その先、井波町岩屋までの約3,500メートルにつきましては、幅員17メートル、2車線の計画で、平成6年度から路線調査に着手しているところでございます。  県としましては、本路線が県西部の南北方向の主要幹線道路でありまして、県内外からの観光客の増加や産業・経済・文化に大きな効果をもたらすことから一日も早い完成が望まれ、今後とも関係市町村と連携を図りながら早期整備を国に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、国道359号の砺波東バイパスの整備についてでございます。  国道359号は、砺波平野を横断し、砺波市、婦中町の丘陵地を経由し富山市に至る、県中央部を横断する重要な幹線道路であります。その整備に当たりましては、砺波市街地の交通混雑を解消することに重点を置きまして、まず砺波バイパスに着手し、整備促進に鋭意努めてきたところであります。しかし、いまだ用地の解決をみていない箇所がありまして、現在、地権者と交渉を進めているところであります。  御指摘の砺波東バイパスの整備につきましては、この砺波バイパスの進捗状況等も十分勘案しながら、一日も早く整備ができるよう検討してまいりたいと考えております。  次に、国道359号の沿線などに花や緑いっぱいオアシス道の駅を設置してはどうかとの御質問でございます。  国道359号につきましては、その沿線に砺波チューリップ公園、県民公園頼成の森、富山県中央植物園など、本県を代表する花と緑の拠点施設が立地しており、また、婦中町下瀬地内のチェーン着脱場は、冬季以外の利用を高めるため地域の花や緑を配置し、小公園的な潤いのあるものにしたことなど、花や緑にあふれたオアシス道路を目指して整備促進しているところであります。  道の駅につきましては、関係市町村等が主体となって休憩施設等の整備を行い、道路管理者が支援する制度であります。国道359号につきましては、現在のところ沿線市町村から道の駅の設置計画についての提案はなされておりませんが、県としましては、広幅員道路とすることや既存の道路空間の有効利用を図るなど、花と緑にあふれた道路づくりに今後とも努めてまいりたいと考えております。  最後に、能越自動車道小矢部東インターのアクセス道路である砺波小矢部線についての御質問でございます。  主要地方道砺波小矢部線につきましては、砺波市と小矢部市を結ぶ主要な幹線道路でありまして、これまで交通安全の確保や雪に強い道路づくりの観点から、歩道の設置やバス停車帯の確保、消雪施設の整備を実施し、車道幅員は5.5メーターから9メーターに一応の改良済みでございます。  本路線の当面の対策としましては、仮称小矢部東インターに直結する主要地方道福光福岡線との交差点におきまして、今後能越自動車道等の開通等により交通量の増加が予想されますことから、先行的に交差点改良を実施しているところであります。この交差点以外のその他の区間の整備につきましては、周辺地域の土地利用状況や交通量の推移等を十分に見きわめながら検討してまいる考えでございます。 45 ◯副議長(中川久尚君)野島迪雄君。    〔25番野島迪雄君登壇〕 46 ◯25番(野島迪雄君)最初に、昨年の9月定例県議会に引き続き、県の奨学資金貸与制度に関連いたしまして、3点質問を申し上げます。  平成6年度において県が募集いたしました奨学生は、高校、短大、大学、高等専門学校、専修学校など、合わせて37名となっておりますが、前回も指摘いたしましたように、大学院生に対しましてはこの対象外となっております。そのとき、「県が基礎研究部門に力点を置いた施策を推進しようとしているときに、奨学金を大学生までで打ち切ってしまうというのはいかにも得策ではない」と、幾つかの理由を挙げて指摘いたしましたが、これに対する教育長答弁は、大学生への貸与が在学生の10%程度であるのに対しまして、大学院生の場合は在学生の26%にも達していることや、また、貸与月額も修士課程の場合で7万8,000円、博士課程では10万9,000円と充実が図られており、一方、本県の奨学資金制度が日本育英会奨学金を補完する目的で設置されている点などを考えれば、当面は大学生への貸与を中心に制度の充実を図るべきだという趣旨のものでありました。これは一見もっともな意見のようでありますが、最近、関係者からの問題提起などもありましたので、少し調べてみました。  それによりますと、在学生に対する奨学生の比率は、大学、大学院ともに教育長が指摘をされたとおりでありますが、応募者に対する貸与を受ける人の比率は、大学が2分の1であるのに対しまして、大学院は3分の1となっておりまして、また、大学生が比較的アルバイトに時間を割くことができるのに対しまして、大学院生の場合は、理工学系を中心にバイト収入を当てにすることはほとんど困難な状況にあり、大変困っている実態が明るみに出たのであります。  日本育英会本部に問い合わせましたところ、技術立国の観点からは、各大学が優秀な学生を大学院に残すことを当然望んでおりますが、国の人数枠の拡大努力や貸与金額の増額が需要には追いついていないということでありました。そうした理由なども絡んで、現状は、旧帝大系の国立大学を中心に、大学院生の3分の2が外国人で占められているというのが実情だそうでありまして、国の技術立国という大義名分とは裏腹に、欧米におくれをとるのではないかという不安が常につきまとっているという見方が有力だと伺いました。  そこで、日本育英会との併願は認めないといたしましても、本来の設立趣旨にのっとり、大学院生に対する県独自の奨学資金貸与の道を開くよう改めて求めたいと思います。知事の御所見を伺いたいのであります。  第2は、やはり県内への就職者に対しましては、一定の条件のもとでの借入金償還に対する減免措置などの政策的な措置は必要であろうと考えます。これをぜひ御検討願いたいのでありますが、所見はどうかお伺いいたします。  第3は、文教予算がゼロシーリングを続けているなどが災いして、基礎研究部門のポストの空きを待っている、いわゆるオーバードクターが全国には四、五千人はいると聞いております。県内の研究機関がこうした優秀な人材を活用することはできないものか、また、どうすれば活用することができるか、その対策などについても伺っておきたいのであります。  次に、登校拒否(不登校)児童生徒、中途退学者、いじめ及び高校入学と子供の将来設計など、教育問題に関連いたしまして若干の質問をいたしたいと思います。  本県の平成4年度における30日以上の不登校児童生徒数は、小学校127名、中学校538名、公立高校209名などとなっており、年々増加の一途をたどっておりますが、特に中学校においてその傾向は顕著でありまして、まことに憂慮すべき事態となっております。  また、高校の中途退学者数も、全日制・定時制を含めますと、県立高校で413名、私立高校は517名で、その合計は毎年高校が1校消滅しているほどの数に上り、これまたゆゆしき事態と申さねばなりません。  一方、昭和60年ごろにピークを迎えたいじめは、データのうえでは、その後漸減傾向を示してきてはおりますが、最近になって、いじめの対象となった子供が、みずからの自殺という行為を通していじめそのものの存在を社会に告発するなど、陰湿さの度合いを深めてきていることをうかがわせる兆候が見られます。  そこできょうは、こうした視点を踏まえながら、幾つかの問題点を抽出し、県当局の所見並びに対応策について伺いたいのであります。  まず初めは、登校拒否という問題についてであります。  一昨年3月に出された文部省の学校不適応対策調査研究協力会議の答申は、「登校拒否はだれにでも起こること」と指摘しましたが、従来の「心の病」であるというとらえ方から、最近は「怠け者」という意識に変わってきたといわれます。つまり、行政の「学校不適応」という言葉が示すように、子供自身の問題だというのでありますが、しかし子供の側から見れば、「学校に行き続けることがマイナスを引き起こす」ことになるという認識から、今の教育の現状に「異議を申し立てている」のだと、東京シューレ主宰の奥地圭子さんは訴えました。つまり「一律、画一化、強制、管理といったものに拒否感があって不登校になっている子供が多い。大人の善意の押しつけは子供にとってマイナスだ」、また「学校の現場は一つの事象について感動したり考えたりすることよりも、問いに対する正解だけが書ければよいというようになっている。教育という言葉はラテン語で『引き出す』という意味があるといいますが、まず子供の声を聞くことから始めるべきだ」というのであります。  私は、一昨年の9月議会でこの問題を取り上げ、教員のカウンセリングマインドの高揚と専任カウンセラーの各中学校への配置、並びに児童相談所が実施しているメンタルフレンド制度などについて提言いたしましたが、その後の専任カウンセラーの配置状況はどうなっているか。また県は、学校に行きたくないという子供たちの心奥からのシグナルにどうこたえようとしているのかなどについての所見を伺いたいのであります。  第2は、中途退学者対策と総合学科制の導入ということについてであります。  単位制を基本に、普通科目、職業科目を含めた幅広い選択科目群の中から生徒が自主的に選択履修できるという、第三の学科・総合学科が全国に広がろうとしております。「15の春」に自分の将来を決しかねている子供たちには、時間をかけて、自分の未来に夢を託すに足るだけの職業を探し出そうとして、そのために何を学びたいのか、また学べばよいのかを考えるチャンスを与えてくれる総合学科は、進路変更や学校生活への不適応などの理由で、毎年1,000人近い高校生が中途退学を余儀なくされている現状を考えるならば、本県にとりましても彼らに明るい展望を開くかぎとなるかもしれません。  そこで、既設校、例えば富山北部高校のような総合制高校を一部手直ししてパイロット校とし、多様化する生徒の個性に対応する方法を試験的に探ってみるのはどうか。さらに、履修単位の加算ができる提携校を増やせば、「学校歴」という意識を希釈させる効果だって期待できるのではないかと考えるのでありますが、教育委員長の御所見はどうか。また、先般、高校教育研究協議会の第1次報告が出されましたが、その方向性とあわせ、県の対応について伺いたいのであります。  第3は、いじめの問題についてであります。  本県のいじめの実態は、小中高ともに、ここ7年間に件数でおよそ10分の1、発生学校率で3分の1に減少し、データで見る限りでは、一見鎮静化しつつあるように見えますが、先日の、昭和61年の東京中野区で起きた中学2年生の自殺をめぐる控訴審判決や、また、最近になって岡山県の中学3年生の自殺などが報じられたりしますと、全国的には反転攻勢に転ずる兆候なのかもしれないと感じられますが、本県のいじめの実態をどう見ているか。また、いじめを限りなくゼロに近づけるための方策をどのように考えておられるかなどについて伺いたいのであります。  第4は、校長会テストと受験機会の複数化という問題についてであります。  昭和30年ごろに導入された統計会テストの弊害が指摘されて、かわって登場した校長会テストは、試験後の情報交換が禁止されるなど活用の仕方にも制限が加えられ、進路指導は生徒の希望を尊重する方向へと移行しつつあると伺いました。  優秀な生徒が以前にも増して私立高校の門をくぐるようになったことはよいことでありますが、終戦間もないころのように、中学卒業生の3割から5割が進学する時代とは異なり、ほぼ100%の生徒が進学を希望する現実を考えるならば、県立高校受験者数の高校別アンバランスなどにも配慮して、中学浪人を出さないために学区内での受験機会を複数化することも必要ではないかと考えるのでありますが、教育委員長の御所見を承りたいのであります。  第5は、特色ある高校ということについてであります。  統計会テストがなくなっても、学力による序列化された学校が残っている限り、生徒は自分の序列を決める物差しを求めて動くだけだという意見がある一方で、受け入れる側の高校も、生徒減少期を迎えて受験生を引きつけるような改革を迫られるものと思われます。しからば、魅力ある高校、特色ある高校とはどんな高校か。アイデンティティーを明確にすることが特色であるといたしましても、それでは具体的にはそれは何を意味しているのか、所見があれば伺っておきたいのであります。  第6は、普通科への推薦入学制度の導入についてであります。  推薦入学制は枠が拡大されて、最近では普通高校の理数科にも及んでおります。推薦制につきましては、メリットもあるかわりに、成績以外の評価対象や合格発表時期のずれがもたらす弊害など、デメリットも指摘されておりますが、こうした問題をどう克服していくか。また、一般普通科に推薦制の道を開くことは、将来の目標を特定できないコースであるだけに選抜基準に苦慮することが予想されますが、県は入学者選抜についての基本として何を考えておられるか。例えば、成績は英語、数学、国語、社会、理科の5教科で総合評価されますが、5教科の成績は若干見劣りするといたしましても、それ以外の芸術関係科目や体育などが特にすぐれていれば、普通科推薦合格に加えるなどというのはどうか。一般普通科に推薦入学の道を開く場合の基本理念について御所見を伺いたいのであります。  第7は、高校教育と農漁業後継者の育成という問題についてであります。  農業関連学科への入学は、非農家の生徒の入学が増大し、水産高校への入学者も漁業者の子弟はほとんどいないというデータがあります。しかも、これら生徒は卒業後の就職も農漁業とは全く無関係な職場に進出しているのが実情でありますが、中学卒業生のほとんどすべてが進学するという現状を考えるならば、学力による輪切りで一定の器の中に定められた人数の子供たちがはめ込まれていくという方法が続く限り、これは避けて通れない現実であります。したがって、単に高校の特色を出すという程度では、農業、漁業ともに自営者の確保は困難であると思われますが、この点を県はどのように考えておられるか、当局の御見解を伺いたいのであります。  第8は、子どもの権利条約に対する本県の対応についてであります。  国連「児童の権利に関する条約」──子どもの権利条約が、去る5月22日発効いたしました。この条約は、国際児童年10周年に当たる1989年の国連総会で採択され、これまでに150カ国以上が締結していると伺いました。  この中には、「子供を保護の対象として見おろすのではなく、子供を権利行使の主体として認め、子供の社会参加の確立を目指す」という視点があり、締約国に対し必要な立法措置をとるよう求めていますが、日本は、条約が憲法や教育基本法と軌を一にするものだとして、関係国内法の改正はしませんでした。教育現場での体罰や校則の強制、また退学や停学などの処分、さらには登校拒否など、子供の権利にかかわる問題は多いのでありますが、この子どもの権利条約の発効と本県の対応、また条約には成人及び児童への広報義務も明記されておりますが、どんな対策を立てておられるかなどについて伺いたいのであります。  次に、農業問題につきまして2点、簡潔にお伺いいたしたいと思います。  その第1は、県農業会議の調査によりますと、中核農業士の70%が後継者はいないと答えておりますが、その人材確保対策についてであります。  岡山県では、県と市町村、農協、農業公社の3者が農業後継者を県内外から募集して実施している、2年間の月給制農業実務研修などを含むニューファーマーズ(新規就農者)確保事業が昨年4月にスタートし、注目を集めております。3月議会で私が申し上げた営農技術研修学校と軌を一にするもののようでありますが、後継者や新規就農者を確保することは焦眉の急であり、検討してみてはどうかと再度提案いたしますが、当局の御見解を伺います。  第2は、中山間地域対策としての直接所得補償制度についてであります。  米づくりの再生を探る先日のNHKスペシャル「日本の選択」の討論の中では、平場と違い市場原理の導入は困難であるとして、国土・環境保全、コミュニティー政策などで生き残りを図るべきだという意見が大勢を占めました。こうした考え方を軸に、EUでは直接所得補償──デカップリングを行い、美しい景観の保持や環境保全への貢献を理由に、そのコストを農家だけに負わせるべきではないとして、社会全体で負担することで国民の合意を得ているといわれます。日本では、総務庁が行った全国19道県の地元市町村長らを対象とした調査では、慎重論が多かったと聞いておりますが、県の考えはどうか。私は十分検討に値すると考えるのでありますが、積極的な取り組みを国に働きかける考えはないか、御所見を承りたいのであります。  次は、月岡西住区に関連する問題についてであります。  居住者の健康増進や良好な景観形成、さらには快適な住環境の整備とともに、教育、文化、スポーツ、レクリエーション施設などの都市施設を導入することは時代の要請であるとして、これまでその必要性を再三主張してまいりました。歴代土木部長からは、こうした試みは団地の魅力を高めるものであるとして、積極的、前向きに取り組みたいという答弁が続きましたが、具体化されないまま、東西2住区、計800戸計画として進められてきたこの宅地造成計画も、余すところ西住区Bゾーンの3.4ヘクタールを残すのみとなりました。これだけの住宅、人口集積がある場合、今はすべてを箱物で埋め尽くせばよいという時代ではなく、住民からは当然、都市施設の導入など高度な居住環境の整備を求める要求が早晩出されることは必定であります。県が手がけてきた事業である以上、県の責任において計画は完結されなければなりませんが、現状の計画と見通しについて、まず伺いたいのであります。  第2は、民間施設の導入につきましては、土地価格の点で折り合わなかったと聞いておりますが、一方、今のままの形でいきますと、教育、文化、スポーツ、レクリエーション施設導入のコストが売却価格に上乗せされるために、西住区地域住民に限定された施設になってしまう難点があります。これに対して正橋富山市長からは、富山城址公園同様、県有地のまま市に貸与する形がとれれば、上物は市の責任で推進してもよいという案が、非公式ではありますが、提示されております。県としてはこの市長の提案を受け入れることはできないかどうか伺いたいのであります。  第3は、これだけの開発事業は今後そんなに簡単にできるものではありませんので、富山市南部地域に展開している県の文教、スポーツ、レクリエーション施設などの一環として、県の責任において整備するという方法は考えられないかどうかお伺いいたします。当局の前向きかつ積極的な御答弁を期待いたしたいと思います。  最後は、3月定例県議会に引き続き、3歳未満児の医療費無料化の問題についてであります。  育児支援制度の充実した北欧の出生率が上昇し、一方、封建的な家族制度が崩壊して育児支援の整っていないイタリア、スペイン、ギリシャは、日本と同じように晩婚・非婚化が進み、出生率が低下していると伺いました。日本もこのままでは出生率の低下が高齢化を加速し、社会保障に対する勤労世代の負担は増大して、じり貧となることは明確であります。昔は、子供が将来親を扶養することで帳じりを合わせてきましたが、最近は、年金・医療をはじめ、世代間扶養で現役世代が全体として高齢者を支える形となりました。厚生省がまとめた「21世紀福祉ビジョン」が、子供を生み育てるために必要な環境づくりは健全な次世代を形成するための社会的コストであると位置づけたことからもわかるように、少子社会対策は総合的な施策が必要であることは論をまちませんが、最近の県の調査からもわかるように、少子化の原因は「経済的な不安」が一番大きいと66%以上の人が思っているのでありますから、この「不安」を一つ一つ「安心」に変えていく施策こそが待たれると思うのであります。  そこで、その一環としての3歳未満児の医療費無料化という問題に対しまして、このほど県内の、既に乳幼児医療に対する単独事業を実施している3市3町1村を除く、6市15町7村の28団体に対しまして電話による聞き取り調査を実施いたしましたところ、既に検討に入っている自治体は3市4町2村の9団体、検討していない3市10町5村の中でも、これから検討に入るとしたところは1市7町1村の9団体となり、その結果、今年度検討することになると思われる自治体は合計18団体であることがわかりました。このほかに、少子社会対策として乳幼児医療費無料化が必要なことは検討するまでもないとして、財政面など条件さえ整えばすぐにでも実施したいという自治体が1町ありました。そして、検討18団体中、来年度から実施を表明したところも3市4町1村の8団体に上り、既に実施している7団体と合わせますと、15団体、全体の43%に達することがわかりました。  首長の意見の中には、「計画はない」「先走ったことはしたくない」などの二、三の否定的な意見もありましたが、「単独でも進める」「県全体として実施すべきだ」「県が前向きに取り組めば実施する」「市長会から県に実施を申し入れるよう働きかける」「同一県内に住んでいながら医療費負担に格差が生じないよう県はイニシアチブをとるべきだ」「国、県が全部面倒を見るべきだ」などの意見が大半を占めました。中でも特徴的なことは、例外なくすべての市町村長が、3歳未満児の医療費無料化を少子社会対策であると明確に位置づけているということでありました。県はこのことをどう受けとめるか。それでもなお実施の方向で検討に入る考えはないかどうか、御所見を伺いたいのであります。  第2は、人口問題懇話会及び児童環境づくり推進協議会に関連した問題についてであります。  知事はこれまで、私の再三にわたる質問に対しまして、「人口問題懇話会や児童環境づくり推進協議会の議論や研究結果を踏まえて考えてみたい」という答弁に終始してまいりましたが、これまでに懇話会は5回、また協議会は2回開かれておりますが、これらの場所でこの問題が議論されたという形跡はないのであります。私は知事の発言を大変重く受けとめておりますが、最近、労働組合や政党、各種団体も動き始めておりますし、また、現場の市町村長の意識がこれだけ高まってきている以上、性根を据えてこの問題の可否について率直に検討していただくよう、具体的に関係者に要請すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。知事の率直な御所見を承りたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。 47 ◯副議長(中川久尚君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 48 ◯知事(中沖 豊君)野島議員の御質問にお答えいたします。  まず第1点は、県奨学資金貸与制度についての御質問でありますが、そのうちの、大学院生に対して独自の奨学資金貸与の道を開くよう求めるがどうかという御質問からお答えいたします。  大学院につきましては、学術研究の推進、すぐれた研究や高度な専門的能力を有する人材の養成という2つの面からの役割を担っておりますことから、近年、急速に整備充実が図られてきておりまして、本県におきましても、ここ10年余りの間に富山大学及び富山医科薬科大学に大学院が整備充実されましたほか、本年4月には県立大学におきましても大学院修士課程を設置したところであります。  御指摘の大学院生を対象とした奨学資金制度につきましては、現在、日本育英会や民間基金によるものが設けられております。日本育英会奨学生の選定に当たりましては、大学生以下の皆さんにつきましては、経済的な理由による修学の困難性にその重点が置かれておりますが、大学院生につきましては、高度な専門性や研究能力が必要なことから学業成績に重点が置かれておりまして、そうしたことから大学生に比べ格段に貸与金額及び受給者割合が高くなっております。また、近年の大学院生の増加に呼応いたしまして、日本育英会におきましては、貸与金額や受給者数の一層の拡充を図ってきておるところであります。こうしたことから、大学院生につきましては日本育英会奨学金の活用を基本とすべきものであると考えております。  ただ、本県における高等教育機関の拡充整備によりまして、今後大学院生の増加などが予想されます。こうしたことから、日本育英会奨学金制度の活用状況や県内大学院生の実情などを把握いたしまして、今後十分研究してまいりたいと考えております。  次は、農業問題についての御質問のうち、中山間地域対策としての直接所得補償制度についてどう考えているのか。国へ働きかける考えはないのかという御質問にお答えいたします。
     中山間地域の活性化を図りますためには、農林業の振興はもとより、国土保全など、公益的な機能の維持増進など幅広い観点からの総合的な対策を確立することが重要であると考えております。このため県といたしましては、土地基盤整備などの抜本的な支援や、生活環境の総合的な整備及び国土保全のための公共事業の促進などに加えまして、特に農地の維持管理などを行う市町村農業公社の設立・運営に対する支援の拡充などにつきまして、先般、国に対し強く要望したところであります。  御提案の直接的所得補償制度、いわゆるEU諸国などで実施しておりますデカップリング的施策につきましては、これは農業などの所得向上を、従来の生産振興策と切り離して、直接的な所得補償を通じて行おうというものでありますが、現在、国の農政審議会におきまして論議されておるところであります。その導入につきましては、政策効果、労働意欲、国民のコンセンサスなどの面で問題がありまして、国としてもいまだ基本的な方向が見出せない状況にあると聞いております。  県といたしましても、国と同様に、政策効果等の面で問題があるものというふうに考えておりまして、今後慎重に検討する必要があると思っております。  いずれにいたしましても、中山間地域の対策は極めて重要でありまして、今後、県の農業農村対策連絡会議や、近く設置いたします中山間地域対策プロジェクトチームにおきまして総合的な対策の検討を進め、中山間地域の活性化に積極的に努力してまいりたいと考えております。  次は、月岡西住区問題についての御質問でありますが、月岡西住区の現状の計画と見通しについての所見はどうかという御質問にお答えいたします。  月岡西住区の開発計画につきましては、これまでいろいろと検討がなされてきておりますが、これらの検討結果に基づき、主として1戸建て住宅用地として各ゾーンを順次開発してきたところでありまして、おかげさまで順調に分譲がなされてきておるところであります。開発に当たりましては、団地施設として公園、緑地、集会場等を適切に整備してまいりましたほか、建築物と緑化に関する協定制度を導入するなど、安らぎと潤いに満ちた住環境の創造に努めてきたところであります。  西住区のBゾーンの開発に当たりましても、周辺地域の開発状況、住宅の需給動向等を見ながら、今後十分検討してまいりたいと考えております。  次は、3歳未満児の医療費無料化についての御質問であります。  まず、3歳未満児の医療費無料化について県内の28市町村を調査したが、既に実施している7市町村と合わせて、実施市町村は15市町村となる見込みである。そのほかの結果なども含めて、これらの点をどう受けとめるのか。また、それでも実施の方向で検討に入る考えはないのかという御質問にお答えいたします。  3歳未満児の医療費の公費負担を既に実施している市町村は、それぞれの市町村の考えがあって実施されているものと思っておりますが、県といたしましては、医療費の無料化は必ずしも出生率の向上に直接つながるものではないと考えております。医療費を無料化したから、すぐ子供が増えるというものではないというように考えます。  県といたしましては、これまでも乳幼児や妊産婦につきまして、健康管理の充実や保護者負担の軽減のために各種の施策を積極的に展開してきておるところであります。また、今後急速な少子化の進展に対応いたしますために、仕事と子育ての両立の支援、母子の保健医療サービスの充実、出産、子育てに伴う経済的負担の軽減などについて総合的に検討していく必要があると考えております。  3歳未満児の医療費の公費負担につきましても、これらの総合的な検討の中での課題の一つとして検討していきたいと考えておりますが、ただ、これにつきましては、先般も答弁申し上げておりますが、いろいろ問題があるところであります。  まず第1に、公費負担はやはり、低所得者に対する助成や重篤で経済的負担の大きい疾病、死亡率が高く、障害を残すおそれの多い疾病などが優先して実施されるべきものであること。第2に、公費負担の拡大は現在の個人負担を県民全体の負担に転嫁することになり、十分県民のコンセンサスを得る必要があること。第3に、高齢者や障害者など他の医療費助成制度とのバランスにも十分配慮する必要があること。第4に、財政状況の厳しい中で、施策の優先順位、財源の捻出方法、市町村が負うべき今後の財政負担などに十分配慮する必要があることなど、いろいろ問題も多いことから、これらにつきまして十分検討しなければならないと考えております。  いずれにいたしましても、県といたしましては、子供がすこやかに生まれ育つ環境づくりを一層進めますために、市町村の意見を聞きますとともに、児童環境づくり推進協議会などの場で十分検討いただき、その議論や提言を踏まえ、総合的な施策を積極的に展開することにしてまいりたいと考えております。  次の御質問は、3歳未満児の医療費無料化については、人口問題懇話会や児童環境づくり推進協議会において検討するとしておるが、速やかに結論を得るように求めたいという御質問であります。  県といたしましては、子供を生み育てやすい環境の整備や、若者の定着と流入の促進を図りますために、児童環境づくり推進協議会や人口問題懇話会を設置いたしまして、総合的な施策について鋭意検討をいただいておるところであります。例えば、児童環境づくり推進協議会におきましては、仕事と子育ての両立の支援、母子の保健医療サービスの充実、出産、子育てに対する経済的支援などについて議論をいただいておるところでありますし、また人口問題懇話会におきましては、若者の定着と流入を図るための高等教育機関の整備、若者に魅力あるにぎわいのあるまちづくりの推進などについて御議論をいただいておるところであります。  いずれにいたしましても、今後、児童環境づくり推進協議会などにおきまして、総合的な児童環境づくり施策などを鋭意検討を進めていただきたいというふうに考えておりまして、3歳未満児の医療費の無料化の問題につきましても検討を進めていただきたいと思っております。県といたしましては、これらの協議会などの御提言、議論を踏まえまして、実施できるものから順次施策の具体化を図ってまいりたいと考えております。  以上であります。 49 ◯副議長(中川久尚君)屋敷教育委員長。    〔教育委員長屋敷平州君登壇〕 50 ◯教育委員長(屋敷平州君)野島議員の教育問題についてのうち、中途退学者対策としても有効であると考えられる総合学科導入の方向性と対応について、具体的な例をお挙げになりながらお尋ねになりました件についてお答えいたします。  総合学科につきましては、普通科目群と専門科目群の双方から、生徒が主体的に履修科目を選択してまいります新しい学科制度であり、個性を伸長させていく意味で大変意義のあるものと考えているところでございます。本県における総合学科の設置につきましては、今回提出のありました富山県高等学校教育研究協議会の第1次報告の提言の趣旨に沿い進めていきたいと考えておるところでございますが、このため、早期開設に向けて具体的な検討に入ったところでございます。  また、最初につくります設置校、議員のお言葉ではパイロット的学校というようなものにつきましては、よりスムーズに総合学科を導入いたしますためにも、ある程度の学級規模を持つ、普通科、職業科を併置した高校を改編する方向が望ましいと考えているところでございます。今後、候補校の選定作業を急ぎますとともに、地元の御意向や候補校における準備態勢等をも考慮のうえ、導入の時期を決定してまいりたいと考えているところでございます。  さらに、設置校数につきましては、県全体からの通学の利便性も考慮しながら、段階的に導入する方向で進めるのが適当であると存じております。  なお、個性尊重の教育を実現するうえからも、総合学科の設置に当たりましては、単位制や学校間連携などの活用により、弾力的な制度の運用を図ることが望ましいと考えておりまして、こうしたことによって議員御指摘の転入学でございますとか、あるいは編入学等への対応も可能であると、このように存ずるところでございます。  次に、業者テストの廃止は一方で受験者数の学校別アンバランスをも生じさせる可能性がある。これについてどのように対応するかとのお尋ねにお答えいたします。  志願状況に多少のアンバランスが生じてくる可能性は、これは否定できないところでございますが、今後は、各高等学校からの適切な進路指導の提供や、あるいは中学校でのきめ細かな進路指導によりまして、志願状況の極端なアンバランスは避けることができるものと考えております。  また、御提言の受験機会の複数化は、一般に、2回以上の入学検査を実施いたしまして、それぞれの受験機会ごとに異なった選抜尺度を用いて生徒の多面的な能力を見出し、評価することに意義があると考えておりますが、こうした場合でも、それぞれの受験倍率が高まるなどの問題を引き起こすこともあろうと考えております。この点につきましては、県高等学校教育研究協議会でも、既に定着しております実績のある推薦入学を拡充し、のみならず弾力化を図ること、そのことが受験機会の拡大の一つの方法として適切であるという提言をなさっておるのでございます。  今後は、この提言を踏まえまして、学校、学科、コース等の特色化とそれに応ずる受験機会の公平性を、全県的視野に立ちながら、また地域の特性をも勘案しながら、御指摘のような問題解決のための入学者選抜制度の改善に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。 51 ◯副議長(中川久尚君)吉枝教育長。    〔教育長吉枝信朗君登壇〕 52 ◯教育長(吉枝信朗君)県の奨学資金貸与制度についてと教育問題についての、この2つについてお答えしますが、まず県の奨学資金貸与制度についてのうち、県内就職者に対して、一定の条件のもとでの借入金償還に対する減免措置などの政策的な施策が必要であると考えるがどうかというお尋ねにお答えいたします。  県奨学資金は日本育英会の奨学金を補完するものでありまして、経済的な理由によって修学が困難で、かつ優秀で意欲のある学生に対し貸与することによって、有用な人材の育成を図ろうとするものであります。一般に、奨学資金制度は、過去の奨学生からの返還金が現在及び将来の奨学生のための重要な貸付財源となっているものであります。その意味では、返還免除措置の導入には慎重でなければならないと考えております。  優秀な人材の確保は、本県の将来を考えるうえでも極めて重要であります。県の教育委員会といたしましても、関係部局と十分連携をとりながら、人材の育成や確保には努めてまいりたいと考えております。  次に、教育問題のほうに入りますが、まず、登校拒否対策としての専任カウンセラーの各中学校への配置の問題、それから、登校拒否の子供たちの学校に行きたくないという心奥からのシグナルにどうこたえるかというお尋ねにお答えいたします。  登校拒否児童生徒への対応としましては、適応指導教室の開設、カウンセリング指導員の配置、カウンセリングの研修の充実などに努めてきたところでございます。特に本年度は、登校拒否等の問題を持つ生徒やその保護者への教育相談と援助等の任務に専念させるため、中学校におけるカウンセリング指導員の配置を8名から16名へと倍増し、問題の多い中学校に重点的に配置したところでございます。  登校拒否の原因につきましては、学校生活、家庭生活、それから本人の性格、社会の変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こると考えられるわけでございますが、1人1人について見るならば、その原因、タイプも実にさまざまであります。そういう中にあって、各学校においては、互いのよさを認め合う温かい学級づくり、1人1人に応じた指導法の工夫など、児童生徒の立場に立った人間味のある指導の推進に努めているところでありまして、学校が児童生徒にとって、自己の存在感が感じられ、精神的に安定して楽しく過ごせ、行きたくなる学校、心の居場所となる学校というものを目指して、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  次に、本県のいじめの実態をどう見ておるのかと。また、いじめを限りなくゼロに近づけるための方策についてということでのお尋ねですが、これにつきましては、御指摘のとおり本県のいじめの実態は、データを見る限りでは、最も発生件数が多かった昭和60年度の小学校1,366件、中学校の447件、それが平成4年度には小学校で128件、中学校では55件と、小中学校とも近年激減しております。特に平成4年度、中学校におけるいじめの前年度比は59%減となっておるところでございます。  しかし、全国的には増加しているという状況や、また見えにくいといういじめの性格から、いじめは人権問題であるという認識に立って対処することが大切であるというふうに考えております。  それで、いじめの指導に当たっての基本的な視点としましては、次の4点が考えられるわけでありますが、1つは、いじめは児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼし、さまざまな問題行動を招くおそれのある深刻な問題である。2つ目に、いじめは今日の児童生徒の心の問題が介在している問題である。3つ目に、いじめは学校における人間関係から派生し、教師の指導のあり方が深くかかわっている問題である。4つ目に、いじめは家庭におけるしつけの問題が深くかかわっている問題である。  こういうような4つの視点が考えられるわけでありますが、これらの基本的な視点に立ちまして、すべての教師がいじめの問題の重大性を認識し、校内の指導体制を確立し、学校全体として一致協力して取り組むこと。また、児童生徒が教師にいつでも相談できる雰囲気をつくること。率直に悩みを打ち明けることのできる教育相談の場を用意する。また、学校全体を思いやり、助け合いの精神で満たし、正義を行き渡らせるよう、道徳や特別活動の時間をはじめ、学校教育活動全体で取り組むこと。家庭や地域との連携を強化し、親がしつけを見直すとともに、それぞれの子供の個性、特性を認め、十分伸ばすように配慮するなどの方策が考えられるわけでありますが、こういうことを大切にして今後取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、生徒減少期を迎えて、魅力ある高校、特色ある高校とは何かという御質問でございますが、これについてお答えいたします。  今回の教育改革は、高校に学ぶ生徒の興味・関心、それから進路が極めて多様化してきている状況に対し、個性を最大限に伸長させるための選択幅の広い、柔軟な教育を志向するものであります。そのために必要なことは、学ぶ側の視点に立って、高等学校自身が個性を持ち、特色を十分に発揮することであり、また、教育内容についても、多様化を推進することによって特色を持つことであるというふうに考えております。  議員御質問の魅力ある学校、特色ある学校については、例えば、1つとして、特色ある学科・コースの設置等による教育課程の特色化、2つ目に、体育・文化活動や奉仕活動等の幅広い教育実践による特色化、3つ目に、これらを支える学校施設等の特色化など、ソフト・ハードの両面があるわけでございますが、その特色はその学校の持っている伝統とか地域との結びつきによってはぐくまれていくものと考えております。  いずれにしましても、学校の特色化は入学者選抜制度の改善とセットにして進めていくべき重要な課題ととらえておるわけでありまして、今後は、生徒減少期を一つの契機として、県民や地域のニーズ等を踏まえ、高校の位置する地域性とか伝統等を勘案しながら、一層の魅力ある学校づくりを進めていきたいと考えております。  それから、推薦入学制はメリットもあるかわりにデメリットも指摘されている。こうした問題をどう克服していくのか。また、普通科に推薦制の道を開くことは、選抜基準に苦慮するのではないかということなどから、入学選抜についてどのように考えているのかというような御質問ですが、これについてお答えいたします。  本県の高等学校推薦入学者選抜につきましては、昭和57年度に導入しまして以来、募集人員、対象学科等の拡大、志願資格の明確化等の改善を行い、目的意識が明確で、意欲と個性豊かな生徒を入学させることができる制度として評価を得てきているというふうに考えております。しかし、どのような制度にも、これで完全であるというものはないわけでありまして、今後も見直しをしながら改善をしていく必要があると考えております。  普通科への推薦入学の導入につきましては、今回の県高等学校教育研究協議会の第1次報告で提言されているものでありまして、その内容は、希望する学校は推薦入学を実施できることと、導入する学校は求める生徒像を明示できることとしておるところでございます。このことから、推薦入学が導入された場合でも、御指摘の選抜基準もおのずから明確となり、中学校における進路指導がより適切に行われることや、各高等学校の特色化もそれによって推進されていくものと考えております。  さらに、この報告においては、各高等学校がそれぞれの特色に応じ、調査書または学力検査の教科に傾斜配点を導入できることも提言されておりまして、特定の教科にすぐれた能力や実績を持つ生徒に対応した多様な選抜方法も取り入れることができるとしているところでございます。県教育委員会では、こうした提言を踏まえまして、入学者選抜制度の改善に取り組んでまいりたいと考えております。  単に高校の特色を出すという程度では、農業、漁業ともに自営者の確保は困難ではないか。その対策はどうかという御質問にお答えいたします。  農林水産業は、産業の中では基本的な産業でありまして、食糧を安定的に確保するためにも後継者の育成は重要であると認識しております。高等学校における農業科、水産科の特色については、コースや類型等の設置、資格取得の学習や新技術の導入等を図りながら地域の実態を踏まえた学習を進め、意欲的な農林水産業の後継者育成に努力をしておるところでございます。  しかしながら、近年の産業構造や就業構造の変化によりまして、農林水産業を取り巻く環境は内外ともにまことに厳しいものがあります。高等学校の農業科、水産科で学んでいる生徒は、卒業後、直ちに後継者となる者は少ないわけでございますが、関連産業等へ進む者もおり、それらは農林水産業に対するよき理解者であり、協力者となるものと考えております。  今後とも、中学生の体験入学の拡充だとか、あるいは入学者選抜方法の弾力化だとか、魅力ある学科づくりや特色ある教育課程の編成というものに努めながら、意欲ある後継者の育成に努めてまいりたいと考えております。  最後ですが、子どもの権利条約が去る5月に発効したが、この条約の発効に伴う本県の教育上の対応、また、条約には成人及び児童への広報義務も明記されておるが、どのような対策を立てておるのかというお尋ねにお答えいたします。  これは午前中の小川議員に対する知事の答弁にもあったわけでございますが、本条約は、世界の多くの児童が今なお貧困と飢餓、いろいろな差別、虐待などの状況に置かれていることにかんがみまして、世界的な視野から児童の人権の尊重、保護の促進を目指したものであります。これは日本国憲法や教育基本法等と理念を同じくするもので、本条約に掲げられております諸権利は、条約の発効をまつまでもなく、我が国の児童生徒は享受している状況であるということであります。  したがいまして、本条約の発効によって教育の制度そのものの根本的な変化を求められたものではないと考えておるところでございますが、もとより、児童の人権に十分に配慮し、1人1人の人権を大切にして教育が行われるよう施策の推進を図っていくことが、極めて重要なことであるというふうに思っておるところでございます。そのため学校においては、本条約の趣旨を踏まえ、全教育活動を通して基本的人権の尊重の精神の徹底を図っていくとともに、児童生徒に権利と義務をともに正しく理解させることが極めて大切であるというふうに考えております。  学校における児童生徒の指導に当たりましては、児童生徒の権利にかかわる退学や停学等の問題については、単なる制裁にとどまることなく、真に教育効果を持つものとなるよう、児童生徒の事情や意見をよく聞くよう配慮すること。また、登校拒否についても、その問題について十分な認識を持って、1人1人の児童生徒の理解を深め、その個性を尊重し、適切な指導が行えるよう一層の取り組みを行うこと。さらに、日々の教育指導にかかわる校則は、児童生徒の実態、保護者の考え、地域の実情等を踏まえ、より適切なものとなるよう引き続き配慮することが大切であると思っております。特に校則の運用の際には、児童生徒の特性に照らして適切な指導が行われることなど、教育の場における指導のあり方が大変重要になってくるものと考えております。  本条約の発効を契機に、児童生徒には外務省発行の「児童の権利に関する条約」のパンフレット等を用いて、権利と義務について理解をさせるとともに、関係諸機関と連携を図りながら、児童生徒が人格を持った一人の人間として尊重されるよう、広く社会に理解を求めてまいりたいと考えております。  また、教職員に広く周知徹底を図るため、本条約の内容については先日通知をしたところでございますが、今後、各種研修会等において本条約の意義や内容についてより一層の理解を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 53 ◯副議長(中川久尚君)内貴総務部長。    〔総務部長内貴 滋君登壇〕 54 ◯総務部長(内貴 滋君)いわゆるオーバードクターに関連いたしまして、県の研究機関などの人材活用についてのお尋ねにお答えいたします。  県におきましては、優秀な研究員の確保のために、通常の採用試験のほかに、研究員等の選考採用に関する要綱を定めまして、先端科学技術分野において博士号取得者など全国的にもすぐれた人材の確保に努めておりまして、この要綱に基づき、昭和58年度から現在までに27名の優秀な研究員の採用を行ってきております。  また、産・学・官共同研究や研究交流の拡大など、研究活動の条件整備の充実や研究の場の整備にも努めておりまして、今後とも、試験研究機関の重要性にかんがみまして、技術動向をも十分見きわめながら、優秀な研究員の確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 55 ◯副議長(中川久尚君)堀田農林水産部長。    〔農林水産部長堀田 稔君登壇〕 56 ◯農林水産部長(堀田 稔君)農業問題につきまして、岡山県で実施しております営農技術研修学校等を本県でも検討してみてはどうかという御質問にお答えをいたします。  中核農家を目指して新たに就農を希望する青年が、自信を持って就農し、安定的な農業経営の基礎を築くためには、就農前に、農業生産に関する知識や技術、農作業技能などの幅広い資質を修得することが必要であると考えています。  議員御指摘の岡山県でのニューファーマーズ確保事業は、新規就農希望者に対して、先進農家へのファームステイによる農業体験研修、農協等による2年間の生産及び経営技術実務研修などに支援を行う事業で、平成5年度から実施されたと聞いております。  本県におきましては、平成4年度から実施いたしております新規担い手確保総合対策事業の中で、就農希望者に対しまして、先進地へのファームステイによる農業体験短期研修、それから試験研究機関での1カ月程度の中期実践研修、それから先進農家等への1年間のファームステイによる長期実務研修などを、就農希望者の技術レベルに応じまして体系的に支援をしているところでございます。また、本県では農業者大学校等を設置していないことから、これにかわる教育の場といたしまして、中央農業高校専攻科や国の農業者大学校を活用し、これにかかる研修経費に対して支援をしているところでございます。これらのことにより、本県の新規就農者は、平成3年の9人から4年には14人、5年には17人、本年度は26人と増え、一定の成果が上がっているのではないかと考えております。  しかしながら、現在の担い手の高齢化等を考慮しますと、就農者の確保については必ずしも十分とは言えないとも考えており、農業担い手育成センターの相談状況や、新規就農青年の意見などを踏まえ、新規担い手確保対策のさらなる拡充強化について検討をし、庁内の農業農村対策連絡会議にも諮り、1人でも多くの意欲的な新規就農者を確保できるように努力してまいりたいと考えております。 57 ◯副議長(中川久尚君)望月土木部長。    〔土木部長望月倫也君登壇〕 58 ◯土木部長(望月倫也君)月岡西住区問題についての御質問のうち、まず、富山市がBゾーンを借り上げ、都市施設を市において整備する手法はどうかという御質問でございますが、月岡西住区の開発に際しましては、これまでも教育、文化、スポーツ、レクリエーション施設などの都市施設の導入の可能性について十分検討してきたところでありますが、現時点において適切な施設の設置の見通しは立っておりません。  議員御提案のBゾーンを富山市に無償で貸し付けすることにつきましては、これまで土地の取得費、造成費等に多額の費用がかかっておりまして、これらの費用負担の面からの検討も十分していく必要があると考えております。  次に、それでは県が都市施設を整備する方法も考えられるのではないかという御質問でございます。  月岡西住区における県有施設の設置の可能性につきましては、これまでも官民含めて健康増進施設等の導入につきまして具体的に検討されてきたところでありますが、いずれも土地価格の問題等により実現をみておりません。いずれにしましても、大規模団地として望ましい住環境が整備される必要がありますので、関係機関との連携をとりながら、今後とも十分検討していきたいと考えております。 59 ◯副議長(中川久尚君)野島迪雄君。    〔25番野島迪雄君登壇〕 60 ◯25番(野島迪雄君)知事に対しまして再質問いたしたいと思います。  先ほど、大変力のこもったお声で御答弁いただいたわけでありますが、ただ、まだ私が申し上げたことについて知事には御理解いただけていないような感じがするものですから、改めてもう一度お聞きするわけでありますが、知事がおっしゃっておられる総合的なということは、そのとおりでありまして、私はそのことを一遍も否定したことはないわけであります。保育だとか雇用だとか、仕事、子育て、まちづくり、すべて重要でありますから、そういうことはもちろんわかっておるわけでありますが、ただ、申し上げたいことは、それらは──もちろん、周産期の乳幼児の医療の問題であるとか、あるいは重篤な疾病の子供さんに対するという問題もあるわけでありますが、それらは子供をもうけようという意識はもともとあった人たちに対する施策なんですね。私が申し上げたいのはそこなんです。3歳未満児の医療費無料化というのは、子供を持てないと思っていた人たちが、安心を確認することによって、子供をもうけようと思う意識変革なんです。3歳未満児医療費無料化ということが少子社会対策となるんだということは、そういう意味で今申し上げたわけであります。  実は、市町村長さん方が異口同音に3歳未満児医療費無料化を少子社会対策だというふうに言い切っておられるのも、私は同じだと思っておるわけでありまして、この点が知事と市町村長さんの認識に若干のずれがあるんではないかなと、こう申し上げざるを得ないわけであります。  先ほどは、懇話会などに早く検討をしていただくように強力に申し入れるべきではないかと、こういうふうな趣旨のことを申し上げましたが、私は、代表質問の知事の御答弁にこだわらないで、市町村長の意を体して、懇話会ではなくて、知事の主体的な判断で実施の意向を表明していただきたいということを申し上げたいわけであります。  緊急事態を打開するわけでありますから、多少の出血はこれは覚悟しなければならないわけでありまして、この問題で、代表質問のときには4億円ほどの加算が必要であるというふうなお話がございましたが、私はそれによって──知事は、それが効果的ではないというふうなお話でございましたが、市町村長は現場で、それが効果的だとおっしゃっておるわけでありますから、県民の理解は、4億円加算したとしても私は得られるんではないかと、こう思うわけであります。  それからもう1つ、答弁を求めるわけではございませんが、聞くところによりますと、懇話会の座長さんは戸田座長さんだということを聞いておるわけでありますが、今申し上げたことを十分御理解をいただきまして、懇話会におきましても御検討をいただきますように、これはお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。  それともう1点でございますが、大学院生の奨学金につきましても研究というふうな御答弁がございました。これも、地方集権というふうなことをおっしゃっておるわけでありますから、中央に煩わされずに、県が主体的に、私は大学院生にも奨学資金を出してもいいんではないかということを申し上げたいわけであります。県内就職者への借入金償還の減免という措置、政策的な措置がとられない限りにおいては、これは資金を回転するだけでありますから、そういう意味で、日本育英会のほうは学業・成績が中心だというふうなことでございましたが、県としては、それとあわせて家庭の状況なども勘案したものを設立してもいいんではないか。この間私は、「日本の落日」というテレビを見ましたが、ソフト面での立ちおくれが非常に大きいということを指摘をされておりました。研究分野進出の意欲をかき立てる施策を県もぜひひとつ実施をしていただきたい。若い研究者に生活の糧を提供するのは、知事のお考えも私の考えも変わりはないんではないかと、こう思いますので、積極的な御答弁を改めてお願いをいたしたいと思います。  以上であります。 61 ◯副議長(中川久尚君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 62 ◯知事(中沖 豊君)野島議員の再質問にお答えいたします。  まず、3歳未満児の医療費の公費負担の問題でございますが、何遍も申し上げておりますけれども、県といたしましては、これまで市町村と力を合わせまして、乳幼児、妊産婦について保健対策、つまり健康づくり対策や医療費対策などを積極的に進めてきておるわけであります。  そこで、先ほど市町村長は、この3歳未満児の医療費の負担は少子化対策としての認識を持っているということで、知事の考えとずれがあるというようなお話がありましたが、私は、3歳未満児の医療費の公費負担は少子化対策ではないと言っておるわけでは毛頭ありません。対策の一つでありましょうが、いろいろ問題があるということを申し上げておるわけであります。  つまり、公費負担ということになれば、やはり低所得者を優先するとか、重篤な疾病を優先するとか、そういうことをまず考えるべきでありましょう。また、現在は医療費負担が個人負担でありますけれども、これが県民全体の負担に転嫁するということになるわけでありますから、特に子育てを終わった皆さん方に十分この点は理解、協力してもらう必要があるということも申し上げておるわけであります。それから、高齢者や障害者などの医療費助成制度とのバランスの問題があるわけでありまして、例えば、今高齢者につきましては、給食費につきましても個人負担が今度増えてくるようなそういう問題もあるわけでありますが、そういうバランスの問題もあるではないかという指摘もあるところであります。それからまた、今ほんとに財政状況が厳しい中で、やはり施策の優先順位であるとか、そういうものがもっと厳しく問われなければならないのではないかというような意見もあるわけでありまして、いろいろと問題も多いと。したがって、こういう問題についても十分検討していかなければならないということを申し上げております。  今後、児童環境づくり推進協議会などにおきまして、早急にひとつ検討をしていただきたいというふうにも思っておるわけでありまして、私どもはその提言、議論をいただきながら、その中で実施できるものについては順次積極的に施策を展開していきたいと、このように考えております。十分ひとつ御理解をいただきたいというように思います。首をかしげておられますが、ぜひ十分御理解をいただきたいと思うわけであります。  次に、大学院生に対する奨学資金の問題であります。  これまでも、大学生以下についての奨学金措置につきましては、県といたしましても、野島議員などの御意見もあり、充実整備を図ってまいりました。問題はやはり、これから大学院生に対する奨学金の問題が私もあろうというふうに思っております。ただ、この問題につきましては、貸与金額あるいは受給者数の問題などで申しますと、やはりかなりの金額になるわけであります。そういう点を考慮いたしますと、現在、日本育英会におきましては、貸与金額などにつきましてもいろいろ配慮したものになっておるわけでありますから、まず私は、日本育英会のこの措置を活用すべきであるということを申し上げております。しかし、これから高等教育機関の整備拡充に伴いまして大学院生も増えてまいるわけでありますから、そういうようなことなどを十分踏まえまして、今後研究してまいりたいということを申し上げたわけであります。十分研究いたしてまいります。 63 ◯副議長(中川久尚君)大上紀美雄君。
       〔29番大上紀美雄君登壇〕 64 ◯29番(大上紀美雄君)まず、富山駅整備についてお伺いをいたします。  昨年7月、突然、連立与党内閣が誕生し、かねて政府・与党自民党の申し合わせ事項でありました、平成5年8月の整備新幹線の見直しが全く白紙に戻り、改めて平成6年2月8日に連立与党と政府とで、見直しの合意事項が発表されたのであります。  その柱は幾つかありますけれども、まず第1に、当面現行の基本スキームによる3線5区間の整備を着実に推進する。第2には、3線5区間以外の区間については新たなる財源を見出すことを前提として、平成9年以降、新しい基本スキームを検討し、その成案を得る。第3には、環境影響評価未完了区間については環境影響評価を推進することとし、平成6年度予算において、整備新幹線建設推進事業費を30億円計上するというものであります。新幹線の未着工区間で、駅関係の調査は初めてのケースであり、本県としてはまことに喜ばしいことであります。  聞くところによれば、この調査は日本鉄道建設公団が中心となって、関係地方公共団体、JR西日本、中部運輸局などが協議しつつ行うということであります。その主要調査項目は、第1に、在来線整備と新幹線整備との整合性の調査、第2に、富山駅周辺の都市再開発計画等の調査、第3に、富山駅整備全体構想の調査となっております。    〔副議長退席、議長着席〕  かねてより、県都の玄関口である富山駅がお隣の金沢駅に比べて10年も20年も遅れているのではないかとか、2000年富山国体までに何としてでも整備を完了して、全国から来るお客様を気持ちよくお迎えしたいという、富山県民であればだれしもが願っていることでございます。  従来、県当局は、「2000年国体までに富山駅の整備を完了することは困難である」と議会で答弁してまいりました。しかし、この平成6年の状況の変化を考えますと、また、北陸新幹線の長野-高崎間の工事やJR西日本の金沢駅・岡山駅・京都駅の整備が平成9年ごろまでには一段落するので、富山駅についても、平成9年までに十分な調査や設計等の準備ができていれば、すぐにでも部分着工が可能なのではないか、そして2000年国体までに一部供用開始も可能なのではないかと思うのであります。そのために、この際作戦を練り直す必要があると考えますが、当局の見解をお伺いいたします。  次に、富山駅の整備に関して、平成4年度と平成5年度の2カ年にわたって諸課題を整理するために、「富山駅整備のあり方について」ということで、東京のコンサルタントに調査委託をしてまいりました。平成4年度の調査においては、新幹線乗り入れに伴う在来線との関係、富山駅舎のあり方、南北自由通路のあり方など、総合的な観点から調査をし、平成5年度では、主に富山駅舎を中心とした調査をし、その結果も出ているようであります。  そこでお伺いいたしますが、この2カ年間の調査でどういう問題を摘出し、今後、それをこのたびの国の調査にどう反映させていこうとされるのかお伺いいたします。  次に、企業のフィランソロピー、いわゆる社会貢献活動についてお伺いいたします。  フィランソロピーというのは、語源的には人類愛ということでございますが、企業の文化支援、社会貢献などと訳され、教育、研究、医療、福祉などのための寄附を行うという形で幅広く展開されているところであります。1980年代後半から日本では、アメリカや欧州のメセナ、フィランソロピーの現状や理念が盛んに紹介されてまいりました。日本でも戦前には慈善事業に取り組む企業が多かったのでありますが、戦後はしばらく低調であったと言われております。しかし、最近になって資金的な余裕が生じたこと、欧米に進出する企業が増えたこと、在日外資系企業が熱心に取り組んでいることなどの理由から、ようやく活発になってきたと言われております。  例えば、近年、経団連では「1%クラブ」というものを設立して、各企業に経常利益の1%を寄附する運動を進めており、経団連事務局に社会貢献部を設けているということであります。また、企業の中には企業文化部や文化部支援部などを設けているところもあります。また、社員がチャリティー活動等により得たお金を公益団体に寄附した場合、企業も同額を奨励金として寄附する、いわゆるマッチング制度を採用する企業も増えてきているところであります。  そこで最近、本県においても企業の創立記念事業の一環として地域貢献室を設けたり、社会貢献を目的とした財団を設けるなど、盛んに社会貢献活動を展開し始めておるのであります。これらは、県政発展に大きなインパクトとなったジャパンエキスポや、本年間もなく開会されるインターハイを成功させるために協力した経済団体、企業等の寄附は、ある意味では一過性の性質のものでございましたが、このたびの社会貢献活動は、非常に地道ではありますが、継続性のあるものであると思うのであります。このような県内企業の動きをどのように評価しておられるか、お伺いいたします。  富山経済同友会では、本年3月に「地域住民としての企業」と題して、提言をまとめて発表しております。提言の中で、「企業も地域の一住民であるという観点から討議を重ねてきた」とあります。また「現状のような厳しい経済情勢の中にあって、企業はこのようなテーマを考えるゆとりはないかもしれない。しかし、地域経済が停滞している今だからこそ、企業は社会的貢献活動を通じて、地域社会の活性化に努めるべきではないか。そして、そのことが地域社会から親しまれ、あわせて地域の発展にも貢献していくことになる。そして、行政や諸団体もこれらにつき深い理解を持ち、それを支援していくべきではないか」とも述べているのであります。  そこで、提言の中の幾つかの項目について、行政としてどのように対応していかれるのかお伺いいたします。  まず初めに、寄附金に関しての税制面の措置、財団設立についての条件整備等についてであります。国の所管にかかわる分野かもしれませんが、しかし、県内企業が社会貢献をしようとする場合に最も悩む問題の一つであります。  第2に、中学、高校等でのボランティア活動を成績として評価する制度を確立してはどうか。これについても従来から議論されてきたところでありますが、より具体的な、積極的な方策はないものか、お伺いいたします。  第3に、地域活動についての活発な情報提供によるボランティア活動の醸成であります。例えば、名古屋市で昨年10月に、「企業と社会貢献のあり方」をテーマとして、「フォーラム・明日の社会貢献を考える」が開催されました。新聞、テレビ等でも大きく報道されたということであります。これは一つの事例ではありますが、こういった取り組みも、機運を醸成する意味で効果的であると考えるのでありますが、県当局の所見をお伺いいたします。  次に、すぐれた、あるいはユニークな活動に対する表彰制度の新設はどうかということであります。  また、学校教育あるいは家庭教育においても人間愛や博愛の精神をはぐくみ、あわせてボランティア活動を体験させる必要があると考えます。現況はどうなっているのかお尋ねをいたします。また、その方策があれば、あわせてお尋ねを申し上げます。  次に、各企業の社会貢献の努力と行政の持つ広範囲な情報を結びつけることは、効果が大きいと考えるのでありますが、情報の提供についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。  次に、医薬分業についてお尋ねをいたします。  県立中央病院が昨年4月1日から医薬分業を開始して、本年3月31日で丸1年間経過をいたしました。開始するに至るまでの県薬剤師会をはじめ、医療機関の関係者、そして県行政の皆様方の御努力に対し、深く敬意を表するものであります。  そこで、県立中央病院における医薬分業について、平成5年度1年間の実績をお尋ねいたします。  まず、経営収支に与えた影響はどうか。診療報酬や薬価差益等を含めてお伺いします。  次に、業務量にどんな変化があったかお尋ねいたします。例えば、診療、調剤、薬剤管理、会計事務等を含めてであります。  次に、患者の待ち時間、あるいは従来の、患者が担当医から薬をもらいたいという患者心理にどのような反応変化があったか。  次に、保険薬局の処方せん応需体制はどうか。  次に、県立中央病院前に設けられた県薬剤師会の会営薬局は、県も応分の協力をして開設されたものでありますが、利用状況、経営状況はどうなっているか、お伺いいたします。  昨年8月に医薬大附属病院で、12月に国立富山病院でそれぞれ院外処方せんが開始されましたが、現在までの状況をどのように評価しておられるのかお伺いいたします。  全国41位といわれる本県の医薬分業を進展させていくために必要な保険薬局の数、薬剤師の数についてお伺いいたします。  現在、薬事法によって薬剤師の1日の処方せん枚数が40枚と定められています。仮に、外来の処方せんを100%院外に出すとすればどれだけ必要なのかお伺いいたします。また、それに対して現状はどうなっているのか。保険薬局や応需薬局を増やし、薬剤師を増やして医薬分業をより一層進める方策は何か、お伺いいたします。  本県における医薬分業の道は大変厳しいものがあると思います。そこで、最近、県内医薬品メーカーが、医薬分業の流れに対応して、調剤薬局のチェーン展開をするために新会社を設立したということであります。  県厚生部では、既存の薬局との調整問題を心配しているようでありますが、本県における医療機関、薬局、薬剤師の現状を考えますと、医薬分業を推進していくためには前向きの対応が必要だと思いますが、所見をお伺いいたします。  次に、大手量販店が店内薬局を保険薬局として応需薬局になろうとすることが、これから予測されます。駐車場や買い物との連動性等を考えると、車時代の患者には利便性が高いのではないかと思います。そういう動きが出てきた場合、前向きに検討していく用意があるのかどうか、所見をお伺いいたします。  また、医薬分業が日本一と言われている佐賀県では、その実態は門前薬局が主流をなすと聞いております。基準に合う門前薬局の場合には、積極的に認めていく必要があると思うのでございますが、いかがでありますか。ただ、県薬剤師会では、産声を上げたばかりの医薬分業を定着させるまでは、少なくとも公立病院の門前薬局の設置については心配する声もあることを申し添えておきます。  次に、富山市民病院などの公的病院でも、医薬分業へ向けて作業が進められていると聞いております。その具体的な動向をお尋ねいたします。また、日本赤十字病院や済生会病院など移転改築の決まっている病院の取り組みはどうなっているのかお伺いいたします。  医薬分業と不可分と考えられる、いわゆる600点業務、つまり平成6年4月の診療報酬改定により、病院薬剤師の技術料として、入院調剤技術料は、それまでの400点が600点になったもので、1点10円換算で支払われるものでございます。院内薬剤師にとって、院外処方せんを発行することにより、外来調剤に従事していた薬剤師を入院患者のための病棟業務に振り向けられ、入院患者へのサービス向上とあわせて、病院の収入が多くなるメリットがあると言われております。そのためには、いわゆる600点業務承認施設であることが必要であります。ところが、県内では平成6年現在、承認施設は公的病院が5つ、民間病院は1つで、残念ながら当の富山県立中央病院は入っていないのであります。また、富山市民病院をはじめ、ほとんどの公的病院も民間病院も入っていないのであります。なぜなのか、今後の医薬分業を進めるうえで障害になるのではないか、今後の承認の見通しについてお尋ねをいたします。  医薬分業を進めるうえで、医療機関側では薬価差益の従来の利益が減少して、病院経営を危うくするのではないかとの心配があると聞きます。県内の公的病院の中でも、薬価差益の経営上のうまみから医薬分業に消極的な病院があると聞いておりますが、普及のための対策と今後の指導方針をお伺いいたします。  現在、県内の保険薬局数は、平成6年4月現在193、そのうち応需薬局は83、会営薬局を加えて84と聞いております。県内の保険薬局の中には、調剤薬局として十分な能力がありながら、既製薬品を売っていたほうが手間がかからず、調剤薬品を備える必要もなくもうかるので応需薬局になろうとしないと聞きますが、実態はどうか、今後の指導方針をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。 65 ◯議長(西島栄作君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 66 ◯知事(中沖 豊君)大上議員の御質問にお答えいたします。  第1点は富山駅整備についての御質問でありますが、今回の富山駅部の全体構想調査の着手により部分着工の可能性が出てきたのではないか、見通しと今後の取り組み方針はどうかという御質問であります。  このたび国におきましては、富山駅部の全体構想調査が整備新幹線建設推進準備事業費により実施されることとなりましたが、これは富山駅整備の実現に向けて一歩前進したものと受けとめております。しかしながら、この新幹線駅としての富山駅が整備されますためには、まず富山駅を含む区間が工事実施計画の認可区間、すなわち着工区間とされる必要があるわけでありますが、御案内のように、富山駅を含む魚津-高岡間はまだ着工区間とされておりません。したがいまして、今後、平成9年以降に検討されることとなっている新しい基本スキームの中で、富山駅が着工区間に組み入れられることなどが必要であります。今後とも、富山駅の整備に向けまして、引き続き関係各方面に強く働きかけてまいりたいと考えております。  なお、国による富山駅部の全体構想調査につきましては、現段階において、その調査期間、内容など具体的な進め方が明らかではありませんが、国の予算成立後なるべく早い時期に、例えば7月に調査委員会が設置され、開催される予定であります。県といたしましては、この国の調査が円滑に進められるように富山市とともに積極的に協力してまいりたいと考えております。また、この調査結果に基づきまして富山駅の整備が速やかに実現されますように、魚津-高岡間の着工区間への組み入れなどを関係各方面へ強く働きかけてまいりたいと考えております。  次の御質問は、企業の社会貢献と行政とのかかわりについてでありますが、最近、本県においても企業が盛んに社会貢献活動を展開し始めている。このような県内企業の動きをどのように評価しているかという御質問にお答えいたします。  近年、企業に期待される役割の増大に対応いたしまして、企業の社会貢献活動が注目され、経済団体や民間企業におきましては、非営利の各種活動団体の設立、貢献活動を行う組織づくりなど具体的な取り組みが見られるところであります。こうした中にありまして、県内企業におきましてもいろいろな活動が展開されてきているところであります。具体的に申し上げますと、まず、博物館・美術館の開設、コンサートなどの開催など、地域の文化活動に対する支援。次に、企業体育館の地元住民への開放、企業従業員によるボランティア活動など、地域住民活動への支援。それからさらに、工場緑化、清掃活動の実施など、地域の良好な環境整備への支援などであります。現に、県内におきましては、地域貢献室を設けたり、社会貢献を目的とした財団を設けるなどの動きが見られるところであります。  こうした企業の社会貢献活動は、現在の長引いております不況下や円高などの厳しい経営環境のもとにありましては容易なことではないと考えられますが、企業の公益的な貢献活動は、社会問題の解決や地域社会の活性化に結びつきまして、まさに、地域や社会との共生が図られるものでありまして、高く評価できるものであります。  今後とも、多くの企業が幅広い分野で社会貢献活動を継続していただきまして、また、新たに展開されますことをも心から期待申し上げているところであります。よろしくお願いいたします。終わります。 67 ◯議長(西島栄作君)市丸企画部長。    〔企画部長市丸正年君登壇〕 68 ◯企画部長(市丸正年君)富山駅の整備に関して、平成4年、5年に県、市がコンサルに委託して調査を行っているが、どういう問題を摘出し、今後、それを国の調査にどう反映させていこうとしているのかというお尋ねにお答えいたします。  県及び富山市が共同で取り組んでまいりました富山駅整備構想調査研究につきましては、駅北の都市MIRAI計画や駅南の再開発状況、さらにはこれからの開発構想など、駅周辺における諸条件を踏まえながら新幹線建設に伴う富山駅の整備につきまして調査研究を行ったものでありまして、その内容といたしましては、1つには、新幹線が富山駅に入ってくる場合のその位置及び高さはどうなるかというようなこと、2つには、新幹線の整備に伴うJR在来線の位置、高さ及び配線はどうなるだろうかということ、3つには、南北連絡路の位置及び高さはどうあるべきかというようなこと、4つには、現在のJR西日本の駅ビルを仮に改築するとした場合の位置、形状、あるいはまた機能、規模はどうあるべきであろうかといったようなことにつきまして、いろいろな場合を想定し、ケーススタディーとして研究を行ってきたものであります。  県としましては、さきの自由民主党宮本議員の代表質問に知事からお答えしたとおり、将来の富山駅整備の方向につきましては、まず第1に、機能面では駅北の都市MIRAI計画や駅南の再開発状況などとの整合性を図りながら、交通の結節点としての利便性とにぎわいのある都市拠点機能を備えるものであること、第2に、景観面では周辺の都市景観などと調和のとれた、県都の玄関口にふさわしい顔としての役割を担うものであること、この2つが極めて重要であると考えておるところであります。  こうしましたことから、今後、国の行う富山駅部の全体構想調査の実施に当たりましては、これまでの調査研究資料や情報の提供を行うなど、富山市とともに積極的に協力し、少しでも早く調査がまとまるよう取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。 69 ◯議長(西島栄作君)内貴総務部長。    〔総務部長内貴 滋君登壇〕 70 ◯総務部長(内貴 滋君)富山経済同友会の地域住民としての企業という提言に関連いたしまして、2つの御質問にお答えいたします。  まず第1は、寄附金に関する税制上の措置についてのお尋ねであります。  御案内のとおり、企業の寄附金につきましては法人税法におきまして、所得金額や資本金額等に応じて、一部損金として算入できることとなっておりまして、また、県税である法人事業税においても同様に取り扱っているところであります。  また、教育・科学の振興、文化の向上、社会福祉、その他公益の増進等に進んで寄与していただくための政策的な配慮から、国や地方公共団体に対する寄附金や、都道府県、共同募金会、日本赤十字社などに対して行う寄附金等につきまして、特例の措置が講じられているところでございます。  また、今年度、ふるさとの振興に寄与する租税政策として、ふるさと控除制度が創設されたわけでありますが、例えば、東京在住の人がふるさと富山県を思って、ふるさと富山県や生まれた市町村に寄附した場合、東京の住民税におきまして個人の寄附金控除が認められたところでございます。  こうした規定に基づきまして、これまでも県内企業等から社会福祉や環境整備、文化活動支援のために、県等に対しまして寄附をいただいてもいるところでございますが、県としてはその場合にはその意向を十分尊重いたしまして、目的に沿って活用して具体的な諸施策を講じているところでございます。  今後、御指摘のように、いわゆるフィランソロピーあるいはメセナ活動は一層重要になるものと思っておりますが、昨年、例えば文部省からメセナ寄附金につきましての税制改正要望が出されたわけでございますが、こうしたいろいろな省庁の動きなども含めまして、税制面での検討につきましても重要な課題になると考えているところでございます。  県といたしましても、その動向を十分見きわめまして、今後、企業のさまざまな地域活動が活発になりますように期待いたしているところでございます。  第2は、財団設立の条件整備についてのお尋ねでございます。  近年、企業が社会的貢献活動を行うため財団法人を設立する動きが全国的に活発化しておりますが、本県におきましても同様であります。具体的には、まず第1に、企業と行政とが協力して一体となって取り組んでいる例といたしましては、本県の場合、全国に先駆けて創設されましたとやま環境財団やあるいは富山県未来財団等の例がございます。  第2に、企業や企業グループ、企業経営者の出捐によって設立されまして諸活動を行っているものといたしましては、昭和59年2月に、科学技術の研究開発に対する援助等を目的とした田村科学技術振興財団があります。また平成元年には、国際交流事業等の助成を目的とした松翁記念財団、あるいは平成2年3月には水文化環境の啓発等を目的とする富山・水・文化の財団が設立されております。また、最近では、ことし3月に社会福祉関係団体等への助成等を目的とするトナミ松寿会が設立されたところであります。  さらに、財団法人制度とほぼ同様の機能を有しながら、独自の事務所や専任の職員を置く必要がなく手続も簡単な公益信託制度も注目されておりまして、本県出身の方から、老人福祉施設等に対する助成等を目的とした信託の事前相談も受けているところでございます。  いずれにいたしましても、これらの財団の設立に当たりましては、設立認可を担当いたします部局といたしまして、これまでも諸手続につきまして、十分発起人側と協議いたしまして必要な助言を行うことをしてまいりましたが、今後も具体的な動きがあれば適切に協力してまいりたいというふうに考えております。 71 ◯議長(西島栄作君)吉枝教育長。    〔教育長吉枝信朗君登壇〕 72 ◯教育長(吉枝信朗君)経済同友会の提言のうちで2つのお尋ねにお答えいたします。  1つは、中学、高校でのボランティア活動を成績として評価する制度ということについてでございますが、ボランティア活動は、有益な社会的役割と活動を担い、自発性をはぐくみ、無償性を尊び、公共性を身につけるもので、人間としてのあり方、生き方、教育の上から非常に大切なものであるというふうに考えております。こうした意味からも、ボランティア活動が進学や就職においても適切に評価されることが望ましいというふうに考えておるところでございます。  本県におきましては、高等学校入学者選抜におきまして、推薦の観点の一つとして奉仕的活動を取り上げているところでございますし、また、高等学校の中でも特別活動で奉仕等の体験学習を推進しているところでございます。今後とも、より適切な活用の仕方、評価の仕方について十分研究を進め、より適切な評価ができるように努めてまいりたいと考えております。  それからもう1つの、学校教育においても家庭においても人間愛や博愛の精神をはぐくみ、あわせてボランティア活動を体験させることが必要であるというような意味でのお尋ねにお答えいたします。  豊かな物質文化が発達してまいったわけでございますが、自制心とか自主・自立精神の希薄が指摘されている今日でございますが、他を思いやる心だとか感謝する心、あるいは他を敬う心、奉仕する心が求められているところでございます。また、高齢化社会とか少子化社会の進展によりまして、思いやり、助け合いの心の育成が一層望まれるものと考えております。  このことから、21世紀に生きる子供は、こうした社会福祉の精神を身につけることが一層重要になると思っておるところでございます。そうした観点から、本県の小・中・高等学校におきましても、児童会とか生徒会活動としてボランティア活動を行う学校が増えておるわけでございます。例えば、社会福祉協議会から、昭和53年よりボランティア活動推進指定校の制度が実施されておるわけでございますが、その指定校が、例えば平成4年度から数えてみても80校にも及んでおるわけでありまして、地域と結んだ奉仕体験活動が推進されておるというふうに思っておるわけでございます。  また、家庭におきましても、学校や地域社会との連携のもとに、例えば、3世代交流の行事や、空き缶拾いだとか清掃奉仕などの地域の奉仕、体験的な活動への参加を通じて、人間愛とか博愛の精神をはぐくんでいるところでございまして、これからもボランティア活動の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。 73 ◯議長(西島栄作君)佐藤商工労働部長。    〔商工労働部長佐藤哲哉君登壇〕 74 ◯商工労働部長(佐藤哲哉君)地域の貢献活動につきましての活発な情報提供によるボランティア活動の風土を醸成したらどうかというお尋ねに対しましてお答えいたします。  近年、企業の社会貢献活動に対する認識が深まってきておりますが、これは、第1には、企業が地域社会を構成する一員として地域との融和を強く自覚しつつあること。第2は、社会の中で企業に期待される役割が増大してきたこと。第3に、経済の高度化やソフト化によりまして、国民が精神的ゆとりや豊かさを求めるようになったことなど、企業を取り巻く環境が大きく変化したことがその背景にあると考えております。  こうした中にありまして、県内企業においては、地域の文化活動に対する支援や地域住民活動への支援、さらには環境問題、緑化、省エネルギーへの対応など、幅広い社会貢献活動が展開されているところであります。  県といたしましては、企業の社会貢献活動について、県内外の具体的な活動事例を広く収集するとともに、企業セミナーや各種の会合などを通じましてこれらを紹介するなど、いろいろな方法によりましてその情報提供を行うことにより、企業や社会の理解を深め、ボランティア活動の風土が醸成されていくよう努めてまいりたいと考えております。  次に、すぐれた、あるいはユニークな活動に対する表彰制度を新設してはどうかというお尋ねに対してお答えをいたします。  個人や企業のすぐれた、あるいはユニークな活動を表彰する制度といたしましては、これまでも、県土美化、ボランティア、交通安全などの分野においては、すぐれた業績を有する方に対しまして、社会福祉協議会やとやま環境財団など、各種の団体において表彰制度を設けて表彰し、その功績をたたえ、県民の模範としているところであります。さらに、これらの表彰者の中で特に秀でた方に対しましては、県功労表彰などによりまして知事が表彰しているところであります。今後とも、個人や企業のすぐれた、あるいはユニークな活動に対しましては、これら各種表彰制度において、幅広く取り上げられますよう努めてまいりたいと考えております。  また、社会や地域に対するすぐれた活動を顕彰する方法といたしましては、表彰以外にもいろいろな顕彰の仕方が考えられるところから、社会貢献活動が幅広い分野で多種多様に取り組まれることを適切に促進するため、要すれば、引き続き各種の顕彰手法につきまして研究をしてまいりたいと考えております。  続きまして、行政情報の提供が、社会貢献の努力と相まって効果が大変大きいというお尋ねでございますが、これに対してお答えを申し上げます。  企業の社会貢献活動は地域住民とのふれあいにつながり、地域との良好な関係を築き、ひいては、より一層企業への理解を高めることになると考えております。企業が貢献活動を実施するに当たりましては、地域社会における特性やニーズを的確に把握することが、その活動の自発性やその内容の創造性をより高めるうえで重要であると考えております。これらの企業に対しまして、行政の有する幅広い情報を提供していくことが、企業の有する経営資源を経済活動のみならず、地域社会にも大きく役立てるうえで効果的だろうと思っております。  このため県といたしましては、今後とも関係機関とも連携を図りながら、学術、文化、教育、福祉、環境、国際交流、スポーツなど各種情報について、広報活動や研修活動、各種連絡会などあらゆる機会を通じまして、情報が適時適切に提供されますように努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 75 ◯議長(西島栄作君)吉田厚生部長。    〔厚生部長吉田哲彦君登壇〕 76 ◯厚生部長(吉田哲彦君)医薬分業につきましての御質問に順次お答えいたします。  まず第1番目は、県立中央病院におきますこの1年間の医薬分業の実績についての御質問でございます。  県立中央病院におきます平成5年度の院外処方せんの発行状況は、外来の投薬患者総数26万2,057人に対しまして、院外処方せんの発行枚数は3万1,362枚で、年間の発行率は12.9%でございました。この経営収支に対します影響は、院外処方せんの発行によります増収分が約2,300万円でございます。薬価差益等、院内で発行した場合と比較いたしまして減収となりました分が約3,300万円と想定されまして、差し引き約1,000万円の減収となるわけでございます。これに、外来患者の調剤担当職員の時間外勤務手当の縮減効果、約300万円を加味いたしますと、実質700万円程度の減収であったろうと考えております。  このような結果となりましたのは、平成5年度が院外処方せん発行の初年度でございましたし、まず4月半ばから、一部の診療科からスタートいたしまして、全面発行に踏み切ったのが年度途中の8月であったためにこのような結果でございますので、平成6年度の実績によって平年度ベースの評価をしてまいりたいと思っております。
     業務量につきましては診療会計部門では大きな変化はございませんが、調剤部門におきましては、院内調剤業務が減少したことに伴いまして、病棟におきます薬剤管理指導、いわゆる600点業務と言われるもので、服薬指導あるいは病歴管理等を行うわけでございますが、これに試験的に取り組むことができたわけでございます。  患者の待ち時間につきましては、これまでピーク時にはおよそ90分を超えておったわけでございますが、最近では60分以内となりまして、約30分の待ち時間短縮効果が図られたところでございます。患者の一部には病院での投薬を希望する方もおられますが、医師から、院外処方せんの利点であります待ち時間が少ない、あるいは好きな時間に行けて薬を投与してもらえる、あるいは薬歴管理の一元化を図ってもらえるといったことを十分説明いたしましたことによりまして次第に理解が広まってきておりまして、本年5月1カ月間の発行率は24.4%に上昇しております。  保険薬局の応需体制は、医薬分業を開始しました平成5年4月時点では指定した薬局が53薬局、そのうち応需された薬局がわずか5つでございました。これが昨年の11月からは指定した薬局83に増やしましたが、応需したものが本年の3月では73薬局まで増えてまいりまして、5月には80薬局まで増えてまいっております。  会営薬局の利用状況でございますが、平成5年4月時点では月に397枚の処方せんを受け付けましたが、全科が発行体制に入りました8月には1,728枚に増え、ことしの3月は3,798枚と順調な伸びを示しております。  会営薬局の経営状況でございますが、薬剤師会からの報告を受けましたところ、平成5年度の調剤報酬等の総収入が約2億3,100万円、医薬品代、販売費及び一般管理費等の諸経費が約2億3,900万円でございまして、差し引き約800万円の損失になったと伺っております。会営薬局も昨年が開設初年度でもございましたし、今後、応需処方せんの枚数の増加によっては経営内容は順調に推移するものと考えております。  次に、昨年8月に医薬大附属病院で、12月に国立富山病院で院外処方せんが発行開始されたが、現在までの状況をどのように評価しているかという御質問でございます。  先ほど申し上げましたように、平成5年4月から県立中央病院が院外処方せんの発行をスタートいたしまして、その後8月に富山医科薬科大学の附属病院、そして昨年の12月から国立療養所富山病院からの発行が行われまして、そのように公立病院において続いて発行が行われましたことは、中央病院の院外処方せんの発行は、それなりにリーディング効果はあったものと評価をしております。  医科薬科大学附属病院におきます状況は、処方せんをコンピューター処理するオーダリングシステムの整備に伴いまして、発行枚数は着実に増加しておりまして、本年5月の院外処方せん発行枚数が3,494枚、発行率は26.7%という状況になっておりまして、受け入れ薬局も82薬局になっております。  次に、国立富山病院につきましては、本年5月の院外処方せん発行枚数は43枚、発行率が3.8%となっており、また受け入れ薬局は8薬局でございます。これは、この病院の特徴及び立地条件等から外来患者が1日50人程度と極めて少ない状況にありますので、このような状況になっているのかと思っております。  次は、本県の医薬分業を進展させていくために必要な保険薬局数、保険薬剤師数についての御質問でございます。  平成4年度の基金年報及び国保連合会誌、審査支払業務統計などによります本県の1年間の院外処方せん発行枚数は23万4,000枚余でございまして、発行率は1.8%でございました。全国の平均が14%でございますので、かなり低い水準にとどまっておるわけでございます。外来の処方せんを院外に発行する場合には、患者の意向や院外処方せんになじまない薬剤など、特殊な事情がある場合もございますので、100%院外処方せんを発行することは、現状では考えにくいわけでございます。  そこで、仮に院外処方せんの発行率が全国第1位の佐賀県の院外処方せん発行率であります35%を目途に試算をしてみますと、薬局・薬剤師の配置基準であります薬剤師員数省令によりますと、必要な薬剤師数は432人と推計されます。また、本年3月末現在の226の薬局すべてが保険薬局といたしますと、1薬局当たり約2人の薬剤師が必要になるわけでございます。一方、平成4年12月末現在の本県の薬局勤務の薬剤師の数は303人でございますので、さきの試算と比べますと不足するわけでございますが、一方、無職として届けられております薬剤師は304名おられます。そこで、仮に今後医薬分業が進展いたしまして保険薬局における薬剤師の需要が高まってまいりまして、この無職の方々が半数程度薬局に再就職しますと合計455名となりますので、今申し上げたような、仮に院外に35%発行されたとしても、何とか薬剤師の数は足りるんじゃなかろうかと思っております。  また一方、薬局数につきましては、平成4年末におきます人口10万人当たりの薬局数は、全国平均は30でございますが、本県は20と全国最下位でございます。  このようなことから、医薬分業の進展の状況いかんによりましては、今後、薬剤師の確保、あるいは保険薬局の開設増についても十分検討することが必要になるものと考えております。  次に、医薬品メーカーが調剤薬局のチェーン展開の新会社を設立したが、これをどういうふうに受けとめておるのかという御質問にお答えいたします。  先ほど申し上げましたように、本県の薬局数は全国最下位でございます。このようなことから、今後本県の医薬分業を推進していくためには、調剤のできる薬局の増加が必要であると考えております。このためには、調剤専門の新規薬局が開設されますことは大変好ましいことでございます。ただ、質の高い面分業を推進するうえから、地域の薬局との協調、また患者の需要に対応した開局時間、地域の実情に応じた医薬品の備蓄など、薬局業務運営ガイドラインなどに基づいた形で十分指導をしてまいりたいと、このように思っております。  次に、大手量販店が店内薬局を保険薬局として応需薬局になろうとすることが予測されるが、これについての所見。また、分業を進めるに当たって基準に合った門前薬局を積極的に認めていく必要があると思うがどうかという御質問にお答えいたします。  県内におきまして、現在のところ大手量販店が店内薬局の保険指定を受けたいとの動きはございませんが、全国的にはそのような動きがあると伺っております。このこと自体は、待ち時間の間の買い物や大型駐車場の利用が図られるといった面から、患者の立場から見ますと利便性があるというふうに考えております。そのような動きがありました場合は、十分お話を伺ってみたいと思っております。  また、門前薬局につきましては、構造、機能的及び経済的に医療機関から独立した薬局であれば許可せざるを得ないと考えておりますが、望ましい処方せんの応需体制は、やはり面分業でございますので、特定の医療機関のために開設された門前薬局の増加は好ましくないと考えております。  次に、富山市民病院等の公的病院におきます医薬分業への動向についての御質問にお答えいたします。  県内の公的病院におきまして、院外処方せん発行に踏み切っていただくことは、医薬分業を推進するうえで大変意義のあることでございます。そこで、本年3月には県内の公的病院に勤務いたします医師、薬剤師、看護婦、事務職員等を対象といたしました医薬分業推進セミナーを開催いたしまして、医薬分業の普及啓発に努めたところでございます。  また、院外処方せんの発行を検討しております各公的病院に対しましては、県立中央病院の院外処方せん発行までの経緯を取りまとめました、院外処方せん発行マニュアルといったものを作成いたしましたので、これをもとに個別に御説明をし、また必要に応じて各種の資料を提供するなど積極的に働きかけているところでございます。  その中で、富山市民病院につきましては、現在内部での検討委員会が設置され、発行に向けての種々の問題点などについて鋭意検討されていると伺っております。また、移転改築を計画しております富山赤十字病院及び済生会富山病院におきましては、医薬分業につきまして、病院内の検討課題の一つとして、今勉強を始められたと伺っております。  次に、医薬分業と不可欠と考えられる600点業務の承認施設が少ないのはなぜかということでの御質問にお答えいたします。  病院薬剤師は、外来調剤業務だけでなく、病棟業務を通じまして入院患者に質の高い医療の提供を図っていくことが必要とされるようになってまいりました。この病棟業務とは入院患者への服薬指導、病歴管理、医薬品の情報提供を行うことでありまして、病院でこの業務を実施することによりまして、患者1人につき1カ月当たり600点の診療報酬の請求が認められるわけでございます。しかしながら、現在多くの病院において、病院薬剤師の多くが外来調剤に忙殺されておりまして、600点業務に取り組める態勢になっていないのが現状でございます。  本県におきますこの600点業務の承認施設数は、公的病院5カ所、民間病院が1カ所の計6カ所でございますが、この600点業務は医薬分業を推進することにより促進されるものと考えておりますので、他の病院におきましても、院外処方せんの発行とあわせてその導入について積極的に取り組むよう働きかけてまいりたいと思っております。  なお、県立中央病院におきましては、先ほど申し上げましたように、現在、この600点業務である薬剤管理指導につきましては、一部の病棟で試行的に実施を開始したところでございます。  次に、分業を進めるうえで、医療機関側では薬価差益が障害となっているといわれるが、薬価差益があるために分業に消極的な病院があると聞いているがどうだという御質問でございます。  御指摘のとおり、病院からの院外処方せんが発行されない理由の1つは、院外処方せんを発行することによります薬価差益がなくなり、収入減につながるという理由から医薬分業に消極的な病院があることは事実でございます。しかし、近年の薬価基準の引き下げに伴いまして薬価差益が毎年減少をしてきておりますことから、また、医薬分業の本来の目的であります投薬時間の短縮、あるいは病歴管理、服薬指導など、患者サービスの向上を図る観点から、今後とも医療機関の理解と協力を得ながら医薬分業の推進には着実に取り組んでまいりたいと思っております。  最後に、県内の保険薬局が調剤薬局としての能力を持ちながら、既製品を売っていたほうが手間がかからず、調剤薬品を備える必要もなくもうかるので応需薬局になろうとしないと聞くが、実態はどうかという御質問でございます。  平成6年5月現在の県内の薬局数は226で、保険薬局の指定を受けておりますのは、そのうち193薬局でございます。このうち、実際に院外処方せんを受け取り調剤したことのある保険薬局は90薬局でございまして、応需率は47%となるわけでございます。この応需薬局が少ない理由といたしましては、院外処方せんの発行医療機関の数が少ないことから調剤経験がないこと、また、薬剤師自身が高齢で、かつ後継者がいないことから、処方せん応需に対する意欲がないことなどが考えられるわけでございます。  今後、応需薬局を増やすためには、院外処方せんの発行医療機関を増やすことも必要でございますが、それとともに、薬局薬剤師1人1人が地域住民の保健医療の担い手としての認識を高めるとともに、専門職としての生涯学習に努めることが必要だろうと思っております。このため全薬局に対しまして、薬局業務運営ガイドラインに基づきまして、保険薬局として処方せん応需義務を果たすよう強力に指導してまいりたいと思っております。  以上でございます。 77 ◯議長(西島栄作君)以上で本日の一般質問、質疑を終わります。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。  明6月23日は、本日に引き続き各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。  本日はこれをもって散会いたします。  午後4時30分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...